主を待つ準備という種 待降節第1主日(ルカ21・25〜28、34〜36)

典礼は、新しい年を迎え、主のご降誕を待ち望む準備をいたします。この時期は、教会だけではなく町全体が【クリスマス】を待つと言ってもいいかもしれません。

きょうのみことばは、そんな私たちがイエス様のご降誕を待ち望む嬉しい雰囲気とは逆にちょっと恐ろしい場面から始まっています。みことばは、「太陽と月、そして星に徴が現れ、地上では、海と波がとどろきに、国々の民は慌てふためき、不安に陥る。」というように何だか天変地異を預言するような場面から始まります。きょうのみことばの前には、「……人々は剣の刃に倒れ、捕虜となって、あらゆる国に連れていかれる。」(ルカ21・24)と戦争が起こるようなことも書かれてあります。戦争が起こり、天変地異が起こり、人々は不安に慌てふためくのです。

私たちは、歴史を振り返る時大きな戦争があり、地震や津波、火山の噴火、飢饉や豪雨など様々な自然災害や戦争での苦しみ、悲しみを知ることができます。今まで、幸せ、平和と思っていた日常が突然悲しみの中に突き落とされるのです。このような絶望の時に、苦しみの時から解放してくださる方であるメシアを人々は待ち望むのでしょう。みことばは、このような時に「人々は人の子が大いなる力と栄光を帯びて、雲に乗って来るのを見る」とあります。聖書の中で私たちならもう世の終わりでないかと思われるような状態の時に【メシア】が現れると言われていたようです。矛盾を感じるようですが、平和で安定した時には、メシアは現れずに「もうダメだ、どこに逃げても危ない」というような時にメシアが現れる思われていたようです。

さて、私たちはどうしてもこのようなみことばを読む時に天体や地上の異変、災害に目を向け、想像してしまい、現実の生活と切り離して考えがちです。聖書はおん父の愛を伝え、おん父が私たちをどれだけ愛されているかを伝えているものです。ですから、このような天変地異の状態を伝えて私たちを不安にさせるような箇所があるとあまり読みたくない、避けたいという気持ちになるのではないでしょうか。または、今の平和な社会とはかけ離れたものだ、あまり関係ないというように自分の生活とは別の次元である、と思ってしまうのではないでしょか。もし、このような状態や状況を私たちの心の状態、家庭の状態に置き換えてみるとまた違った見方をするのではないでしょうか。例えば、私の心の荒みや自分の弱さに苦しみ、病気や貧困、家庭の不和、学校や職場で息がつまるよな苦しみ、自分ではどうしようもない現実を目の当たりにする時、それは、まさにきょうのみことばに書かれてあるような状態となるのではないでしょうか。私たちは、このような苦しい状態の時から解放してくださる「誰か」を探し求めているのではないかと思うのです。みことばは、このような状況の時に【メシア】が現れると言っています。

さらに、「身を起こし、頭をあげなさい。あなた方の贖いが近づいているからである」とあります。私たちは苦しい時には、どうしても内向的になり、外の明るさを羨ましく思い、自分の苦しみを嘆いてしまいがちです。とても、「身を起こし、頭をあげる」という気分になりません。イエス様は、「そのような苦しい状態だからこそ敢えて、『身を起こし、頭を上げないさい』」と言われているのではないでしょうか。イエス様は、私たちが苦しい時は身を起こし、頭をあげるとかできないこともよくご存知なのです。このイエス様が言われる「身を起こし、頭を上げないさ」というのは、「ご自分の方に目を向けなさい」という意味ではないでしょうか。

イエス様は、続けて「あなた方の心が放縦や泥酔、また世の煩いにふさぎ込むことがないよう、またその日が、突然あなたに訪れることがないよう、注意しなさい。」と言われます。イエス様は、私たちが苦しい状態を受けて開き直ってヤケになったり、苦しみから逃げて虚しい楽しさに走ったり、仕事に没頭して苦しみを忘れようとしたり、人を遠ざけて落ち込むことがないようにしなさい、と言われているのではないでしょうか。私たちは、苦しくて辛い時、頑張ってこれ以上頑張れない時、「注意しなさい」と言われても「無理!!」と言いたくなります。きっと、イエス様もそのことはご存知です。イエス様は、そんな私たちに「人の子の前に立つ力が与えられるよう祈りなさい」と言われます。

そう、私たちは苦しい時だからこそ「祈り」が必要なのです。どうしようもない弱い私、苦しくてあがいても光も希望も見えない私、そんな弱くてどうしようもできない自分を受け入れた時に「人の子の前に立つ力が与えられるよう祈りなさい」とイエス様は、言っておられます。

待降節が始まり、主のご降誕を待ち望む私たちは、改めてどうしようもない私を見つめ直し、謙遜な心で「人の子の前に立つ力が与えられるように」主への信頼の心で祈ることができたらいいですね。

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