気をつけるという種 年間第33主日(マルコ13・24〜32)

日本の四季は、春から冬とその季節によって気温はもちろん、それぞれの草花が咲き、木々の葉の色が新緑から紅葉に変わり、野菜もそれぞれの旬のものが採れ、穀物を植える時、刈り入れの時があり、肌に感じる空気も変わってきます。このように見てみると、日本の四季は本当に豊かなのだと実感します。

きょうのみことばは、「主の再臨」の場面です。きょうのみことばの前後には、「だから、気をつけなさい。」(13・23)「気をつけて目を覚ましていなさい。」(13・33)という言葉に挟まれています。イエス様は、私たちに何か大切なことが起こることを注意しているようです。では、何に対して「注意」を促しているのでしょうか。

イエス様は、まず「それらの日には、この苦難に続いて、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天のもろもろの力は揺り動かされるであろう」と言われます。イエス様は、初めに「それらの日には、この苦難に続いて」ということを言われます。では、この苦難とは何なのでしょう。それは、最高法院に引き渡され、肉親を含め全ての人から憎まれるという苦難、神が創造した世界の初めから今に至るまでかつてなく、また今後もないような苦難、偽メシアや偽預言者が起こり信仰を揺るがす者が出て来るという苦難というキリスト者に対して迫害を予告されます。(マルコ13・1〜23)

イエス様はそれだけではなく、それらの苦難の後には天変地異が起こると言われます。イエス様の時代の人たちは、今のように気象衛星があるわけでもなく、科学や技術進歩しているわけでは無いので、日食や月食、地震や雷などそれらの天候の変化、天体の変化を神様からの怒りやメッセージと考えていました。人々は、これらの現象に対して恐れを抱きます。イエス様は、これらのことが起こったら「その時、人の子が大いなる力と栄光を帯びて、雲に乗って来るのを人々はみるであろう。」と言われます。

イエス様は、この中で【その時】と言われます。それは、人からの【苦難】、天候の変化や地震などの災害という【苦難】が起こった後の【その時】を指しているのではないでしょうか。私たちは日本だけではなく、世界の歴史を振り返る時、様々な自然災害、大きな戦争、飢饉や病気などの苦難がありましたし、キリスト者は迫害や殉教がありました。それだけではなく、貧困やいじめや差別、格差社会での苦しみという精神的な苦難などがあります。私たちは、このような不条理な歩みにもかかわらず、【苦難】を乗り越えるという【希望】を知っていますし、【希望】の先に【救い】があることも知っています。

イエス様は、ご自分が「大いなる力と栄光を帯びて、雲に乗って来る」と言われます。聖書の中で【雲】は、神がおられる場所と考えられていました。イエス様は、おん父からの力と栄光をいただき再び来られると言われているのではないでしょうか。私たちの生活を振り返る時、困難や苦しみだけではなくそれらを乗り越えた時の喜びもあります。例えば、病気が回復した時の喜び、陣痛を乗り越えて抱いた後に子供を抱く喜び、誤解が解決した時の喜びなど、【苦難】と【喜び】を繰り返しながらの歩みと言ってもいいでしょう。イエス様は、私たちが苦しんでいる時側にいて一緒に苦しまれ、私たちが苦しみを乗り越えた時一緒に喜んでくださいます。イエス様は、突然雲に乗って来られるという神秘的なご出現ではなく、私たちの身近におられ私たちと関わられておられるのです。

イエス様は、「いちじくの木から教訓を得なさい。枝が柔らかくなり、葉が出るようになると、あなた方は夏の近いことを知る。それと同じように、これらのことが起こるのを見たなら、人の子が戸口に近づいていると知りなさい。」と言われます。イエス様は、ここで人々が「いちじくの木」の成長の過程に気がつきもうすぐ実が採れることを喜ぶように、【苦難】を受けている時にこそご自分がいると言われているのではないでしょうか。イエス様は、繰り返すように何度も「私たちの側にいる」と言われておられるのです。

イエス様は、「天地は過ぎ去る。しかし、わたしの言葉は過ぎ去ることはない」と言われます。この言葉は、私たちに勇気と希望を与えてくださいます。私たちは、みことばを通して三位一体の神の恵みを頂きます。どんな時でもみことばは、私たちを照らしてくださいますし、進む方向を示してくださいますし、力をくださいます。イエス様は、私たちに「いつくしみの愛」で【みことば】をくださいます。

私たちは、典礼の最後の時を歩んでいます。今は、私たちの霊的な棚卸しの時期と言ってもいいでしょう。イエス様は、日常にある小さな恵みに気を止める感覚に対して身に付けるように「気をつけなさい」と言われているのではないでしょうか。私たちは、この1年を振り返りながら頂いた【苦難】とともに【喜び】も一緒に感謝し、イエス様がいつも共にいてくださるという希望と信頼のうちに日々を歩むことができたらいいですね。

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