『ポルトの恋人たち 時の記憶』:ブラザーが選ぶ!おすすめ映画

愛した人の命を奪われるという気持ちは、言葉で表すことができないくらいの苦しみ、悲しみ、絶望に襲われることだろう。『ポルトの恋人たち 時の記憶』は、奇しくも時を越えてポルトガルと日本で起こった男女の引き裂かれた愛を描いた映画である。

1755年のポルトガルを襲った大地震は、約6万人の死者を出した。この復興のためにガスパール(アントニオ・ドゥランエス)は、日本人使用人として宗次(柄本祐)と四郎(中野裕太)を連れてインドからリスボンに帰ってきた。ガスパールは、宣教師として日本に渡った大叔父が日本で殉教したということで日本人を恨んでいた。

ガスパールの使用人の中に震災で両親を亡くしたマリアナ(アナ・モレイラ)がいた。彼女は、ガスパールに酷使されながらもいつかは自由になって祖国に帰ろうという希望を捨てずにいる2人の日本人、特に宗次に興味を抱くようになりいつしか2人は恋に落ちる。ガスパールは、彼ら2人が密会をしているのが気に入らず、あえて宗次に厳しく当たるのであった。宗次とマリアナは、ガスパールが厳しくあたれば当たるほど親密になり、「体は離れていても心はいつも一緒」と伝え合い二人の愛が深まっていく。

ある時、復興作業中の疲労のために横になっていた使用人に対して暴行を与えていたガスパールに対して、宗次は止めに入るのだが逆に銃殺されてしまう。愛する人を目の前で殺されたマリアナは、彼が埋葬されたところで、心の底から搾り出すように嘆き悲しみ、ガスパールへの復讐を誓うのであった。

時は流れ、2021年の静岡、浜松。そこにある自動車工場の一つは、東京オリンピックが終わっても一向に景気が上がらず従業員は希望を失っていた。その工場に本社からやってきたマネージメントリーダの加瀬柊次(柄本祐)は、経営改善で生産ラインを縮小するために、移民労働者をリストラするように命じられていた。加瀬は5人リストラ者を読み上げ、さらに、1人の依願退職者という方針を伝える。従業員の中には、不満を加瀬に対してぶつける者がいた。加瀬は、彼に対して依願退職にすると言い渡すのだった。その時、幸四郎(中野裕太)は、自分をリストラのメンバーに加えて欲しいと、友達の身代わりになるのだった。幸四郎には、ポルトガルギターの店を持つ夢があり、すでに融資も確定しつつあったのである。しかし、銀行からは失業者には融資が出来ないと断られ、幸四郎は厳しい現実を目の当たりにして、ギターを湖に捨て自宅で自死をしてしまう。妻のマリナ(アナ・モレイラ)は、夫の変わり果てた姿を見て愕然とする。

加瀬自身は、会社の方針とはいえ、自分のせいで1人の従業員を死に追いやったことへの苦しさを癒すために、ポルトガルの民族音楽、ファドが聴ける店に立ち寄る。歌い終わった終わったマリナは、加瀬に声を掛けられ親しく話すのであったが、彼から渡された名刺を見て自分の夫を死に追いやった本人と知り、秘かに復讐の計画を立てるのであった。

マリナは、まず、加瀬をデートに誘い隙を見てナイフで殺そうとするのだったが、彼の苦悩する姿を目にしたときから、彼女自身を信用させて裏切るという苦しみを味合わせようと考えるようになった。しかし、そんな彼女は、加瀬と付き合っていくに連れて、彼のことが好きになり徐々に愛へと変わりつつあるのに気がつき悩む。

マリナは、どうしても行きたいところがあると加瀬に伝え、故郷であるポルトガルに彼と一緒に行くのであった。マリナは加瀬と結婚することを伝えある岬に彼を誘う。彼女は、「私は、ここによく来ていた。海の向こうにこことは違う場所があるって。ここは特別な場所。自分の感情に忠実になれる場所」と伝え、いよいよ復讐を遂行しようとするのであったが。

この映画は、ただの復讐をテーマにしているのではない。マリナが夫を死に追いやった加瀬に対しての憎しみが徐々に愛に変わっていくところは、私たちに希望を与えてくれる。三人の主役が時代を超え、2人一役をしているところは、一つの見所ではないだろうか。

©2017 『ポルトの恋人たち』製作委員会


映画『ポルトの恋人たち 時の記憶』
2018年11月10日 シネマート新宿・心斎橋ほかロードショー
監督・脚本・編集:舩橋淳
脚本:村越繁
音楽:ヤニック・ドゥズィンスキ
プロデューサー:ロドリゴ・アレイアス、エリック・ニアリ、市山尚三
出演:柄本佑、アナ・モレイラ、アントニオ・ドゥランエス、中野裕太
配給:パラダイス・カフェ フィルムズ
配給協力:朝日新聞社
時間:139分
2018/日本=ポルトガル=アメリカ
公式サイト:http://porto-koibitotachi.com/

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