マイナスをプラスにという種 年間第25主日(マルコ9・30〜37)

何かの失敗や過失、ちょっとした物事から良い結果を生み出したときに使うときに、「怪我の功名」ということわざがあります。例えば、怪我をして病院に行きそこの先生との出会いで予期しない広がりができた、ということもあります。神様は、人の目でネガティブというものを使われてポジティブなものへと変えてくださるお方なのですね。

きょうのみことばは、受難の予告の第二弾とさらにイエス様の弟子とはどのようなことか、ということを示されている場面です。きょうのみことばの中で「……ガリラヤを通っていった。イエスは、それを人に知られることを望まれなかった。」という不思議な一節があります。今までのイエス様は、人々の所に出て行かれ、福音を伝えられ、病人や悪霊に憑かれた人たちを癒されていまいました。そのイエス様が今回は、人に知られないようにガリラヤに行かれたのです。その答えとして、受難の予告をされた後に「弟子たちに教えておられたからである」という言葉があるのではないでしょうか。

イエス様は、1回目の「受難の予告」を弟子たちや群衆に伝えてから、ご自分が何のためにおん父から遣わされたのかを示され、さらに繰り返すように、弟子たちだけに教えられたのです。イエス様の気持ちは、ご自分が弟子たちの前からいなくなっても、彼らが使徒として全世界に行って福音を伝えるために(マルコ16・15)教えなければならないことが多々あると思われ、人々に出会うことでその時間を割かれることを心配されていたのかもしれません。

イエス様の2回目の【受難の予告】は、「人の子は人々に渡され、殺される。しかし、殺されて三日の後に復活する」というように、前の予告に比べるととても簡潔にまとめられています。この「人の子は人々に渡され」というのは、イエス様が愛しておられた弟子の一人「イスカリオテのユダ」から祭司長たちに引き渡され(マルコ14・10)、次に、「最高法院全体」からピラトに引き渡され(マルコ15・1)、さらに、「ピラト」からローマ兵たちに十字架につけるために引き渡される(マルコ15・15)、ということを意味しているようです。イエス様は、このように十字架への受難に至る【道】において【人々の手に渡され、殺される】と予告されたのです。しかし、このことは、すべて「3日の後に復活する」ために必要なことだったのです。おん父のご計画は、イエス様を【受難】という最もネガティブなものを【復活】という最高のポジティブなものに変えてくださったのです。

弟子たちは、イエス様が大事な教えを話されているのにも関わらず、道々「誰がいちばん偉いか」を論じ合っていました。弟子たちは、イエス様が「殺された後」誰がいちばんになるかということが彼らのこれからの問題だったのです。これは、私たちの中にもある「権力欲」と言ってもいいでしょう。人としての向上心やリーダーとして人々を導くという欲求は、決して間違ったことではありません。その欲求をどのように使うかということで、良い結果となるか悪い結果となるかではないでしょうか。

イエス様は、カファルナウムに着いてから家に入られます。この家は、ペトロの家だったのでしょう。イエス様は弟子たちに「あなた方は道々、何を論じ合っていたのか」と尋ねられます。彼らは、この質問を聞き「気まずい」と思い黙ってしまいます。しかし、イエス様は弟子たちのこの【失敗】を使われ大切な教えを伝えられます。みことばは「イエスは腰を下ろして、12人の者を呼んで仰せになった」とあります。「腰を下ろす」というのは、ラビが人々に教える時の姿でした。イエス様は、ラビが人々に伝える姿を通して弟子たちに教えようとされたのです。

イエス様は、弟子たちが論じ合っていた「誰がいちばん偉いか」というテーマを使われ「第一の者になろうと望むものは、いちばん後の者となり、またみんなに仕える者とならなければならない」と言われます。このイエス様の教えは、弟子たちにとって衝撃なことだったでしょう。イエス様は、幼子を弟子の真ん中に立たせて、その子を抱き寄せて「このような幼子の一人を受け入れる者は、わたしを受け入れるのである」と言われます。幼子は、無力で何もできず弱い立場とされていました。イエス様は、ご自身をこの幼子のように無力な者として【十字架につけられ、殺される】という身を呈して【人々に仕える者】とならました。イエス様は、人の目には弱い者となって人々に【仕える者】こそ、いちばんになるということ、また、同時にご自分に倣う者は、おん父をも受け入れる者として【使徒】の働きをすると伝えているのではないでしょうか。

イエス様は、弟子たちの【権力欲】というものを使われ【仕える者】という大切ことを教えられました。私たちはイエス様が私たちの「弱さを」を使われ、もっと素晴らしいものに変えてくださっていることに気がつき、感謝することができたらいいですね。

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