二つの「種」という種 年間第11主日(マルコ4・26〜34)

以前、100人くらいの養成・司牧担当者の司祭やシスターやブラザーの前で『若者とメディアと召命』について50分くらいパワーポイントを使って話をする機会がありました。私にとっては、それだけたくさんの人の前でお話をするというのは、初めてのことで緊張してうまく行くかどうか不安でしたが、なぜか壇上に立って話し始めると、それほど緊張することなく話すことができました。話し終えてから、何人かからいくつかの感想をいただき大変嬉しく思いました。

きょうのみことばは、イエス様がガリラヤ湖のほとりで人々に「種まきの喩え」を語られた場面です。イエス様は、「神の国は人が大地に種を蒔くようなものである。」と人々に話し始められます。イエス様は、人々の普段の生活を題材にして喩えを話されます。それは、何か特別なことをしなくても天の国に入ることができることを知らせているからではないでしょうか。農夫にとって、種を蒔き、実ったものを収穫するということは当たり前のことです。イエス様は、そのことが【天の国】のようなものであると言われるのです。

イエス様は、「種を蒔く人が夜昼、寝起きしているうちに、種は芽を出し成長する。しかし、種を蒔いた人はどうしてそうなるかを知らない。」と話されます。最近は、スーパーに買い物に行くと、一年中いろいろな野菜や果物が手に入り、季節の野菜というものが分からなくてなっています。しかし、野菜や果物はそれぞれの季節ごとに穫れるものが決まっています。農夫は、野菜を収穫する時期に合わせて土をならし、畝(うね)を作り、それから種や苗または株を植えていきます。農夫は、種を蒔いたり、苗や株を植えて終わりではなく、水や肥料をやり、草を取り、間引きをしたり、時には温度を調節したりと世話をしながら収穫の時を待ちます。

イエス様が、「種を蒔く人が夜昼、寝起きしているうちに、種は芽を出し成長する。」というのは、種を蒔いた人の【種】が芽を出し成長するまでの期間を表しているのではないではないでしょか。私たちは、仕事や努力、時には、祈りの結果まで直ぐに求めてしまいます。パソコンで検索をすると、直ぐに得たい情報が分かり、電子レンジに食べ物を入れると数分で食べられます。私たちは、いつの間にか結果を【直ぐに求める】ことに慣れてしまったのではないでしょうか。しかし、物によっては、【時間】が必要なものもあります。ちょっと、私たちの周りを振り返ってみることもいいのかもしれません。

イエス様は、「大地は自ら働き、初めに苗、次に穂、次に穂の中に豊かな実を生ずる。」と話されます。イエス様は、「大地は自ら働き」と言われますが、この【大地】とはいったい何なのでしょう。この【大地】というのは、おん父なのではないでしょうか。今の時代で言えば、【三位一体の神】の働きと言ってもいいでしょう。パウロは、「わたしは植え、アポロは水をやりました。しかし、成長させてくださったのは神です。」(1コリント3・6)と伝えています。三位一体の神は、私たちが【蒔いた種】を、「苗」「穂」そして「実」へと時間をかけながら【成長】させてくださるのです。私たちは、おん父に「早く実りをください」と要求することはできません。ただ、種が成長して【実】をつけるのを待つだけなのです。おん父は、私たちが最も必要な【その時】に成長した【実】をくださるのです。イエス様は、「実が熟すと、種を蒔いた人はただちに鎌を入れる。」と言われます。私たちは、【実】が熟した時を敏感に察することが大切です。イエス様は、「ただちに」と言われます。もしかしたら、私たちは「実が熟している」ことに気づかず、腐らせてしまっているかもしれません。

次にイエス様は、種の中で小さな「芥子種」の喩えを用いられます。「芥子種は地上のどんな種よりも小さいが、蒔かれると、伸びてどんな野菜よりも大きくなり、その陰に空の鳥が宿るほど大きな枝を張る」と言われます。私たちが蒔いた種は、「小さい」ものなのかもしれません。それでも三位一体の神は、大きな実りをくださいます。イエス様は、その種をただ単に成長させてくださるだけではなく【鳥が宿る】という、私たちが予想していない結果まで生まれると言われているのではないでしょうか。

イエス様は、【種】を用いて【天の国】について語られておられます。私たちにとってきょうのみことばの【種】とはどのようなものなのでしょう。確かに私たちが【種を蒔く人】となり、蒔いた【種】ということも言えるでしょう。それと同時に私たち自身がイエス様から【蒔かれた種】ということも言えるのではないでしょか。イエス様から蒔かれた種である私たちは、大地というおん父の愛の中で成長させていただいているのです。私たちは、この二つの【種】を忍耐と信頼の中で成長させていただくことを、三位一体の神にお委ねすることができたらいいですね。

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