聖体となられたイエス様という種

少し前にある家族と外で食事をしました。その食事は美味しく料理の一品一品に舌鼓を打つことができました。その時、奥様が「美味しいものを食べると幸せになりますね」と言われたのです。確かに美味しい食事をすると幸せな気分になりますが、やはり一つの食卓を囲み、お互い会話をすることも美味しい食事をするために欠かせないのではないでしょうか。

パレスチナ地方での過越の食事は、私たちが友人知人たちと食事をする以上に、神聖なもので本当に家族や親しい人たちとしか食卓をともにしなかったようです。イエス様は、その大切で神聖な食卓を通して【聖体】を制定されました。

きょうの典礼は、【キリストの聖体】を祝う祭日で、B年のみことばはマルコ福音書の中の【最後の晩餐】の場面が朗読されます。マルコ福音書の14章は、いよいよ祭司長や律法学者たちがイエス様を殺そうと策略を立てるところから始まります。そして、その計画に加担するのがイエス様の弟子の一人である「イスカリオテのユダ」です。きょうのみことばの前後には、ユダの裏切りの記事がサンドイッチのように挟み込まれています。そんな緊迫した中イエス様は、愛する弟子たちと過越の食事をするのです。しかも、ご自分の体を今の世に残すという記念の食事をするわけです。

弟子たちは、イエス様に「わたしたちは過越の食事を用意するために、どこに行ったらよいのでしょうか」と尋ねます。一般的に「過越祭」の準備は、リーダの仕事でしたらから慣習に従えばイエス様がされるのが普通だったようです。しかし、今回は、弟子たちが率先して「今回は私たちがしましょう。そのためには、どこに行ったらいいのでしょう」と言ったのです。イエス様は、エルサレムにお入りになったときのように二人の弟子を遣わせれ「町に行きなさい。そこで、水瓶を担いだ男に出会うだろう。その人について行き、その人が入っていく家の主人に言いなさい。……そこにわたしたちのために用意をしなさい」と言われます。

二人の弟子たちは、イエス様が言われた通り町に行き、水瓶を担いだ男性に会います。彼らは、今回もイエス様が言われたことを少しも疑うことなく実行します。ちなみに、水瓶を持つという仕事は女性の仕事でした(ヨハネ4 章)。ですから、男性が水瓶を持っているというのは不思議な光景だったはずです。弟子たちにすれば、「あっ、イエス様が言われていた人はあの人だ」とすぐにわかったのではないでしょうか。弟子たちは、彼の後について行き、イエス様から言われたことが実現したことに驚いたことでしょう。もしかすると、イエス様と家の主人がすでに話し合われていたのかもしれません。しかし、ここで大切なことは、弟子たちが「過越祭の準備」をイエス様が教えられたように行うということで、教会共同体として弟子たちが自立して行くという意味があるのかもしれません。

さて、過越の食事の席でイエス様は、パンを取り、賛美をささげて、これを裂き、弟子たちに与えて「取りなさい。これはわたしの体である。」と言われ、杯を取り、感謝を捧げて、彼らに、お与えになり、「これはわたしの血、多くの人のために流される契約の血である」と言われます。この場面は、今でもミサの中の聖変化の場面で司祭が唱えている箇所です。特にミサで使われる第4奉献文の聖変化の前には、「聖なる父よ、世にいる弟子を愛しておられたイエスは、あなたから栄光を受ける時が来たことを知り、彼らを限りなくお愛しになり、食事をともにする間に、パンを取り賛美をささげ、割って弟子に与えて仰せになりました。」と書かれてあります。ここで注目したい言葉は、「彼らを限りなくお愛しになり」という言葉です。イエス様は、弟子たちだけでなく私たち一人ひとりに対しても【愛されて】おられ、【聖体】の形をとられてくださったのです。

「キリストの聖体」の祭日は、「三位一体の祭日」の次に行われます。私たちが栄唱を唱える時「栄光は、父と子と聖霊に初めのように今もいつも世々にアーメン。」と唱えます。イエス様は、この祈りにありますように、弟子たちにパンを裂き与え、杯をする与え聖体をお定めになられたのは、今の私たちを愛され、また、これからも愛し続けたいという思いがあったのではないでしょうか。パウロは、「わたしたちが誠実でなくても、キリストは常に誠実であられる。キリストはご自身を否むことができないからである」(2テモテ2・13)と伝えています。イエス様、たとえ私たちが不誠実であっても、弱さのために罪を犯しても、いつ、どんな時にも揺るぎない【愛】を私たちに注がれるお方なのです。イエス様は、この【愛】のゆえに聖体の中におられ、ホスチアとなり私たちに語りかけ、導き、そして、私たちの口に入られ、私たちと一体になられるほど私たちを【愛】されておられるのです。私たちは、【溢れるほどの愛そのもの】であるイエス様をいただいていることを今一度、黙想できたらいいですね。

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