恐れるな、語り続けよ、黙っていてはいけない 德田隆仁修道士

二人のイタリア人会員によって始められた日本地方区は、1956年1月20日には『会憲』上、管区に昇格しました。今、40人ほどの会員が日本管区には属しています。

使徒職活動においては単行本編集部門、月刊誌『家庭の友』編集部門、視聴覚部門、ネット宣教部門、普及部門、出張宣教部門、アレッタパオロ(宗教用品製作部門)、サンパオリーノ(修道院製品販売部門)などにおいて、会員たちが日々の使徒職に励んでいます。

大木に育ったとまでは言えないかもしれませんが、日本という国にしっかりと根付いていると言えるのではないでしょうか。

多くのイタリア人会員たちが来日して日本のために働き、また最初の邦人会員である桑島神父を始め、多くの日本人会員たちが彼らと共に働いてきてくれたおかげです。

既に亡くなって、創立者と共に天国で私たちのために祈ってくれている会員もいます。
今在る私たちは、彼らの働きのおかげなのです。

二人のイタリア人神父が来日した時の日本社会と、今の日本社会とでは、きっと大きく変わったことでしょう。

日本は、第二次世界大戦における敗戦を体験し、1960年代の高度成長期を経て、経済大国と言われるほどにまで成長しました。GDP(国内総生産)は、アメリカ、中国に次いで世界第3位の国になりました。

しかしこうした経済的発展の影で、日本人は生活の質の向上、会社組織の中での昇給、昇進を求めるあまり、肉体的、精神的に疲れ、少子高齢化、家族の絆や人間関係の希薄さを招き、また将来を担う子供たちの教育問題に頭を悩ませています。

さらには年間30,000人以上の方々が自らの命を絶つという悲劇的な社会状況をさえ招いてしまいました。

こうした中で日本社会における私たちの使命とは一体何でしょう。

果たして使徒職において私たちに何ができるのでしょうか。

教皇ヨハネ・パウロ二世は、回勅『救い主の使命』(Redemptoris Missio)の中で次のように指摘しています。

「マス・メディアと関係をもつことは、単に福音をのべ伝えることを強めることだけが目的ではありません。

そこには、もっと深い現実が関係しています。すなわち、現代の文化の福音化そのものがかなりの面でメディアの影響力に頼っているので、ただキリスト教のメッセージや教会の本来の教えを広めるためだけにメディアを利用したのでは不十分なのです。

そのメッセージを、現代の情報伝達によってつくられた『新しい文化』のなかに融合させることも必要なのです」(『救い主の使命』p.68─p.69、カトリック中央協議会)。

キリスト教的価値観による日本社会の変革、「福音の文化内開花」(Inculturation)。表現は時代と共に変わってきましたが、キリスト教精神を日本の社会の中に根付かせるという基本的な考え方は常に同じだと思います。

またCTIA(総本部直属の「国際使徒職専門委員会」)は、会における使徒職を果たす上で心がけるべき三つの基本的テーマを「聖書」「家族・家庭」「コミュニケーション」と定めています。

これらは、私たちが使徒職活動の中で常に意識していかなければならない大切なテーマです。

これまでの歳月を通して、日本の聖パウロ修道会が神様から頂いたお恵みを感謝すると共に、教会から私たちに与えられた使命を明日に向かって果たしていく決意をなお一層新たにしたいと思います。

「ある夜のこと、主は幻のうちに、パウロにこう仰せになった。『恐れるな。語り続けよ。黙っていてはいけない。わたしはあなたとともにいる。…』」(『使徒言行録』18・9─10、フランシスコ会訳 サンパウロ発刊)。

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