港として 阿部光一修道士

「人生いろいろ……」こんなフレーズで始まる歌謡曲が、ひと昔前に流行ったことがある。

その歌の内容はともかく、本当に人生は「いろいろ」で一人として同じ道を歩む人はない。皆それぞれの道を歩んでいく。こんなことは言うまでもないことなのだが、最近それを深く感じることが多い。

数年前に教化部(いわゆる「書店」)の使徒職に就いてお客様を相手にしてそう思う。

書店を何かに例えるならば「港」といってもいいかもしれない。入口はさしずめ「船着場」で、一人ひとりが船乗りでそれぞれの人生という「船」に乗っている。「港」である書店は航海に出る船のために必要なものを補給できるように準備をしなければならない。

書籍や聖品を求めに訪れる方々は実にさまざまで、時には「人生相談」のような形になることがあり、対応に苦慮することもある。出来るだけその求めに沿うようにしたいのだが、こうなるともう限界である。

「港」にたどり着く人はまだ幸いかもしれない。荒波にもまれて座礁したり、沈没したり、漂流したり…。別の「港」である教会に何とかたどり着いてほしいと思う。

書店はお客様を「待っている」わけで、ほんとうは救助艇を出して救出に向かうことも必要なのかもしれない。そういう意味でも「限界」を感じる。

人生はそれぞれいろいろだが、決して一人で生き抜いていくことは出来ない。誰かのお世話になったり、人との「出会い」があって、生きていく力をもらったりする。

自分の歩む道を探している人は多い。遭難して大海に投げ出され、救助を待っている人もたくさんいる。波にもまれている人が、なんとか港にたどり着き、生きるすべを見つけるために何が出来るか、そう思う日々である。

「書店」はそういう意味で大切な役割を持っていると思う。

そのためにまず私自身が日々よく祈り、聖霊の助けをいただきながら、よい書籍との出会いを求めていきたいと思う。

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