ともに働いてくださる主という種 主の昇天(マルコ16・15〜20)

私たちは、身近な人の死に会う時その方との関係が深ければ深いほど悲しみも深いものです。しかし、亡くなった後には、その方の存在がある意味で身近に感じるということもあるのではないでしょうか。もうその方に触れることも、直接肉声を聞くこともできませんが、その方が私の中にいる、いつも側にいて「私を見守ってくれている」という感覚を体験した方もおられることでしょう。イエス様が昇天した後、弟子たちも同じようにイエス様を感じたのかもしれません。

きょうのみことばは、イエス様が天に昇られた場面です。きょうのみことばの前に、復活されたイエス様は、11人の弟子たちに現れ、彼らがご自分を見たという人々のいうことを信じなかったことについて、その不信仰と頑なな心をお咎めになられます。弟子たちの心は、まだまだイエス様が復活したということを理解すことができない状態でした。そんな彼らに対してイエス様は、「全世界に行き、造られたすべてのものに福音を宣べ伝えなさい。」と派遣の言葉を伝えます。彼らは、どのような気持ちでイエス様の言葉を聞いたのでしょうか。弟子たちは、イエス様が生きていたときに「異邦人の道に行ってはならない。」(マタイ10・5)で聞かされていました。しかし、今度はイエス様が「全世界に行き、造られたすべてのものに福音を宣べ伝えなさい。」と言われたのです。

イエス様は、以前弟子たちに汚れた霊に対する権能を与えられて、宣教に2人ずつ派遣されました。弟子たちはイエス様の言葉に従って、人々に悔い改めるように宣べ伝え、また多くの悪霊を追い出し、多くの病人に油を塗って癒してきました(マルコ6・6〜13)。イエス様は、再び彼らを全世界に福音を宣べ伝えるように派遣されます。弟子たちは、イエス様から「全世界に行って……」と言われたとき、自分たちがイエス様から派遣された時のことを思い出したのではないでしょうか。

イエス様は、まず人々に洗礼を授けることを勧めます。そして、信じて洗礼を受けた人がどのようにして福音を宣べ伝えて行くか、ということを弟子たちに伝えられます。弟子たちから【洗礼】を受けて信仰の道を歩む人は、弟子たちと同じような権能を与えられ、「悪霊を追い出し」、聖霊に満たされた「新しい言葉」で語り、「病人を癒す」ことができるのです。それだけではなく、蛇をつかみ、また毒を飲んでも、決して害を受けないということも約束されます。

このことは、洗礼の恵みをいただいている私たちにも与えられているのです。私たちは、イエス様から福音を宣べ伝えるように派遣され、まだイエス様に出会ったことがない人にイエス様を知らせ【洗礼】へと導いたりまたは、【洗礼】を授けたり、困っている人、小さい人に手をさし伸べることによって彼らを【癒す】ことができます。さらにイエス様は、私たちが福音宣教するときに受ける【障害】から守ってくださることを約束してくださいます。

ただし、私たちは、イエス様が「わたしの名によって」と言われた言葉を忘れてはなりません。時々、私たちはこの言葉を忘れてしまい、「私がこの人を癒しているのだ」とか「私にこのようなことをできるだろうか」とか思うことがあります。そのようなとき私たちは、「イエス様の名」ではなく「自分の名」によって行おうとしているのではないでしょか。今一度振り返ってみてもいいかもしれませんね。

弟子たちは、イエス様が天に上げられた後、出かけて行き至る所で福音を宣べ伝えます。みことばには、「主は弟子たちとともに働き、徴を伴わせて、弟子たちの言葉を確かなものとされた。」とあります。弟子たちは、いつも自分たちとともにイエス様が働いておられることを実感しています。彼らは、一度イエス様を見捨てて逃げ出したという心の傷を持っています。この傷の痛みは、消えることはないことでしょうが、彼らはその弱さを受け入れその弱いところを生かしてくださるイエス様の力を知っていたのではないでしょうか。イエス様は、弟子たちとともにおられ、彼らを導かれ成長させられるお方なのです。パウロは、「わたしたちはみな、信仰によって、また、神の子を深く知ることによって、一つになり、成長した大人、すなわち、キリストのうちに満ちているもので満たされて、その背丈まで達するようになるのです。」(エフェソ4・13)と伝えています。イエス様は、私たちと一緒になって働かれるとともに、私たちを成長させ、ご自分と一体となるように導いてくださいます。

イエス様は、私たちの弱いところもご存知であるとともに、私たちがイエス様を愛したい、復活されたイエス様との出会いを人々に知らせたいという気持ちもご存知なのです。私たちは、パウロがいう「もし福音を宣べ伝えないなら、わたしにとって災いです」(1コリント9・16)の言葉を今一度思い出したいものです。そして、共におられるイエス様を信じて福音を宣べ伝えることができ、その喜びを味わうことができたらいいですね。

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