留まるという種 復活節第5主日 (ヨハネ15・1〜8)

テレビで家出をしている10代、20代の少女たちを取材している番組を観ました。その中で、1人の少女に「あなたは何が一番大切ですか」と言う質問に彼女は、お金でも愛情でもなく、「携帯の充電器」と答えたのです。彼女たちとって携帯やスマートフォンは、人と繋がることができる唯一の道具なのです。その【充電器】だけが一番大切なものというわけです。言い換えますと、彼女たちは、誰かと繋がることで【安心】を得ることができるのではないでしょうか。

きょうのみことばは、イエス様がご自分のことを「わたしはまことのぶどうの木である」と言われるところから始まります。パレスチナ地方でぶどうは、誰でも知っているもので食べものであり、ワインを作るために大切な果物だったのです。そのため、栽培者は、ぶどうの木が実をつけるためにどの枝を伸ばし刈り込むか、また、栄養分が分散せず豊かな実が実るように剪定していたのです。イエス様は、ぶどうの木と栽培者の関係、そして実を結ぶ枝の関係をお話になることで、弟子たちの働きを教えていたのでないでしょうか。

イエス様は、「実を結ぶものはすべて、もっと豊かに実を結ぶように、父がきれいに刈り込んでくださる。」と言われます。ぶどうの木であるイエス様は、栽培者であるおん父に全てをお委ねになられていました。イエス様は、ご自分に繋がっている【枝】が自由に伸び放題になっていてもおん父がうまい具合に刈り込まれることをご存知だからです。さらに、栽培者であるおん父が枝を刈り込むということは、枝の間に風が光が通るようにされるという意味も含まれているのではないでしょうか。聖霊である風は、枝と枝の間を吹き抜け枝の周りに空気を送りもっと枝が太くなり、自由に伸びて豊かな実を結ぶように働いていくださるのです。そのような枝である私たちに対して、おん父は、愛を持って私たちの良いところも、弱いところも全てをご存知なのでどの枝を切れば良いのか刈り込んでくださるのです。私たちは、ただ幹であるイエス様に【繋がっている】ということを意識すればいいのです。

イエス様は、「わたしがあなた方に話した言葉によって、あなた方はすでに清くされている。」と言われます。この【言葉】は、ただの「話し言葉」ではなく「初めにみ言葉があった」(ヨハネ1・1)の【言葉】なのかもしれません。イエス様は、私たちに話されることによってご自身が私たちの中にお入りになられたので、枝である私たちは「すでに清い」と言われているのではないでしょうか。イエス様は、「わたしのうちに留まっていなさい。そうすれば、わたしもあなた方のうちに留まる。」と言われます。私たちは、イエス様によってすでに清くされ、さらに、イエス様のうちに留まることによってイエス様と一体となることができるのです。私たちは、ミサの中で司祭が「キリストによってキリストとともにキリストのうちに、聖霊の交わりの中で、全能の神、父であるあなたに、すべての誉れと栄光は、世々に至るまで。」という言葉に「アーメン。」と唱えます。枝である私たちは、「イエス様のうちにいる」ということを今一度、振り返ってみてもいいのかもしれません。

イエス様は、再び「わたしはぶどうの木であり、あなた方は枝である。人がわたしに留まっており、わたしもその人のうちに留まっているなら、その人は多くの実を結ぶ。」と言われます。きょうのみことばの中で【留まる(繋がる)】という言葉が何度も繰り返されます。この【留まる】とは、どのようなことなのでしょう。私たちは、人と繋がっているというとき、また、そこに留まっているときには、「安心、平和、心強さ、信頼」という感情が生まれてくるのではないでしょうか。文頭で家出した少女たちがインターネットのツイッターやLineを通して「死にたい」「消えたい」「必要とされたい」「寂しい」という言葉を発信してきます。彼女たちの声に対して「声をあげていいんだよ」「一人じゃないよ」「一緒に考えていこうよ」と応えて彼女たちを救っているNPOに「BOND プロジェクト」という人たちがいます。彼らは、彼女たちの「誰かに、繋がっていたい」という言葉に耳を傾け、時には彼女たちの所に足を運び、休む所を与え、寄り添っているのです。

私たちは、一人では生きていけません。誰かの所に【留まり】【繋がり】ながら支え合ってこそ生きていくことができるのです。イエス様は、そんな私たちに愛を持って「わたしのうちに留まっていていいんだよ」と言ってくださっています。私たちは、イエス様に安心して留まりイエス様の愛という【養分】をいただきながら【豊かな実】を結ぶことができるのではないでしょうか。私たちは、信頼のうちにイエス様に留まり、【豊かな実】をつけてイエス様の【愛】に応えることができたらいいですね。

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