善い羊飼いになるという種 復活節第4主日(ヨハネ10・11〜18)

復活節第4主日は、「世界召命祈願日」と教会で定められています。司祭は、ミサの集会祈願で「良い羊飼いであるイエスは、限りない愛を持って、わたしたちのためにいのちを投げ出してくださいました。主イエスのもとに一つに集められたわたしたちが、主の愛に近づくことができますように。」と唱えます。みことばの始めにイエス様は、ご自分のことを「わたしは善い羊飼いである。善い羊飼いは羊のために命を捨てる。」と言われます。このことは、母と子との関係と言ってもいいかもしれません。母親は、自分の子が病気にかかると親身になって看病します。時には、「その痛みを、苦しみを私が変わってあげたい」と言うほど苦しむ子どものことを心配します。イエス様は、ご自分の子として私たち一人ひとりに接し、愛情を注いてくださるお方なのです。

しかし、同じ羊飼いでも雇い人の羊飼いは、狼が来るのを見ると羊を置き去りにして逃げます。イエス様は、彼らのことを「彼は雇い人であって、羊のことを心にかけていないからである」と言われます。彼らは「羊飼い」を仕事として行っているので自分の身を危険に晒すようなことはしません。善い羊飼いと雇われた羊飼いとの違いは、羊たちへの「愛情」であり、別の言い方をすれば【信念】を持っているかどうかではないでしょうか。匠と言われる人は、自分の技を磨くために【信念】を持って打ち込みます。彼らは、少しの時間を惜しみ、時には何かを犠牲にしてまでも、技に励み練習を重ね、良い作品や良い成績を得るために頑張ります。ある意味、「命を捨てる」と言ってもいいかもしれません。

イエス様は、「わたしは善い羊飼いであり、自分の羊を知っており、羊もまたわたしを知っている」と言われます。この「知る」と言うのは、「知識」と言うだけの意味ではないようです。パウロは、「誰かが神を愛するなら、その人はすでに神から知られているのです。」(1コリント8・3)と言っています。イエス様が言われる「知る」と言うのは、「愛」があり、心に触れる「温かさ」があるのではないでしょうか。たとえば、書名を聞いて「あっその本知ってる。」と言う人がいたとします。その人は、その本のタイトルを知っていただけなのか、内容まで分かっていたのか、また、その本を読んで感動し自分の人生を変えた一冊なのか、同じ「知る」と言う言葉でも大きく違ってきます。イエス様が言われる【知る】は、その人の外見だけではなく心の奥の方まで知っておられるという意味ではないでしょうか。私たちは、イエス様に触れられることで私たちの心が温かくなり、時には自分の人生が変えられることもあるのではないでしょうか。

イエス様は、「わたしには、囲いに入っていないほかの羊もある。わたしは、その羊たちをも導かなければならない。……再びそれを得るために、わたしは自分の命を捨てる。」と言われます。囲いに入っていない羊とはどのような羊なのでしょう。イエス様をまだ知らない人ということもありますが、自分の罪深さのためにイエス様から離れている人とも取れるのかもしれません。イエス様は、おん父から創造してくださった人を全て【囲いの中】、ご自分の食卓の中に招こうとされます。パウロは「福音はユダヤ人をはじめ、ギリシア人にも、信じるすべての人の上に救いをもたらす神の力です。」(ローマ1・16)と言っています。イエス様は、私たちの一人ひとりの中に「私の囲いに入りなさい」と呼びかけられます。私たちは、この【囲いの中】に入って、狼という様々な障がいから守られているのです。

さらに、私たちは囲いの中にいる羊であると同時に、善い羊飼いであるイエス様としての働きをする使命を持っているのではないでしょうか。教皇フランシスコは、「世界召命祈願のメッセージ」の中で「わたしたち一人ひとりは――結婚して信徒として生きるにしても、叙階されて聖職者として生きるにしても、また特別な奉献生活を送るにしても――、今ここで主のあかし人となるよう求められています。(中略)主は今も、ご自分とともに生き、とりわけ親しい交わりの中でご自身に従い、直接仕えるよう呼びかけておられます。み国のために完全に自分自身を捧げるよう主が求めておられることが知らされても、決して怖がらないでください。神のために、そして兄弟姉妹への奉仕のために永遠に自らをすべてささげることは素晴らしいことであり、偉大な恵みです。」と言われています。この教皇様の言葉は、イエス様が言われる「わたしは善い羊飼いである。善い羊飼いは羊のために命を捨てる。」と言われる言葉と同じような意味のような気がいたします。

私たちは、きょうのみことばを黙想しながら私たちがいただいた【召命】についてゆっくり振り返りの時間を持つことができたらいいで

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