証人となるという種 復活節第3主日(ルカ24・35〜48)

私たちは、楽しいことがあると他の人に話したくてしょうがないものです。幼ない子どもが母親にその日あったことを嬉しそうに伝えるという場面を見る機会がありました。その光景は、とても微笑ましいものです。

きょうのみことばは、復活されたイエス様が弟子たちに現れる場面です。エマオへの行く途中でイエス様に出会った弟子たちは、エルサレムに戻り弟子たちイエス様に出会ったことを語ります。しかし、他の弟子たちは、彼らの話を聞きながらもまだ半信半疑だったようです(マルコ16・14)。その時、イエス様が彼らの真ん中に立って「あなた方に平和があるように」と伝えます。ヨハネ福音書でもイエス様が弟子たちに現れたときに「あなた方に平和があるように」と伝えています(ヨハネ20 ・19節以下)。この言葉は、イエス様が「私があなた方とともにいる。だからあなた方は、『平和』なのですよ」と言われているのではないでしょうか。私たちは、復活されたイエスがともにおられることを知っています。イエス様は、私たちに対しても「あなた方に平和」と言われていることでしょう。

弟子たちは、イエス様を実際に見ても「驚き恐れて、幽霊を見ているのだと」思います。イエス様の復活は、それほど弟子たちにとって衝撃的なことだったのです。私たちも頭の中で「あり得ない」という固定観念と違う出来事を目にするとすぐには信じられないものです。イエス様は、ご自分の「手と足を見なさい。まさしくわたし自身である。手で触れて確かめなさい。幽霊には肉も骨もないが、あなた方が見ているように、わたしにはそれがある」と言われます。弟子たちは、イエス様が十字架で亡くなったことを知っていました。私たちは、まず何か根拠があるものを見ないと信じられないものです。それほど「信じる」ということは時として困難な場合もあるということのようです。

復活されたイエス様は、「肉も骨もある」のです。これは、ただの「霊」ではなく復活されたイエス様は、「肉も骨ある」私たちを使ってご自分の働きを人々に現されると言えるかもしれません。普段は、弱くて脆い私たちですが、イエス様の恵みによって私たちは、イエス様の業をさせていただいているのです。

弟子たちは、喜びのあまり、まだ信じられず不思議に思っていました。これは、弟子たちの心が少しずつ変化したと言ってもいいでしょう。彼らは、復活されたイエス様を実際に目にしていても、手足の傷を見ても実感が湧かなかったのでしょう。イエス様は、彼らに「何か食べ物はあるか」と言われ食事をされます。マルコ福音書では「彼ら11人が食卓に着いている所にイエスは現れ」(マルコ16・14)とありますので、この時弟子たちは、食事をしていたのではないでしょうか。イエス様は、あえて「何か食べ物はあるか」と言われて一緒に食事をしようとされたのかもしれません。ユダヤ人たちにとって「食卓を囲む」ということは、とても特別なことで【親密さ】を意味していたようです。イエス様はかつて彼らと生活をしていたときに食事をしたように、再び食事をされたのです。

イエス様は、「まだ、あなた方とともにいたころ話したとおり……」と話し始められます。このことは、聖書がおん父がイエス様を通して人々を贖われるということを書かれたものということを意味しているのではないでしょうか。それからイエス様は、弟子たちの心を開かれます。イエス様は、私たちの頑なな心を開かれるお方なのです。それから、何度もご自分の「受難と復活」について話されたことを再び弟子たちに話されます。実際にイエス様の「受難と復活」を目にした弟子たちは、イエス様が弟子たちの心を開かれたからということもありますが、これまでイエス様が話されたことが分かってきたのではないでしょうか。

イエス様は、ここでさらに「その名によって罪の赦しへ導く悔い改めが、エルサレムから始まり、すべての民に宣べ伝えられる」と言われます。イエス様は、ご自分の【平和】が弟子たちだけではなく、その喜びをすべての民に伝える役として弟子たちに新たな使命を与えられたのではないでしょうか。イエス様は、まず、「ご自分の『名(人格全体)』を使われ【罪の赦しへ導く悔い改め】」ることで、すべての民が【平和】になるように弟子たちを派遣されます。これは、私たちへのイエス様からの「いつくしみの愛」であり、おん父のみ旨と言ってもいいでしょう。

私たちは、私たちの心をイエス様に開いていただき聖週間を通して【受難と復活】を黙想しました。私たちは弟子たちが体験したように、復活されたイエス様に出会うことができたと言っていいでしょう。2人の弟子たちがイエス様の復活を弟子たちに話したように、イエス様が弟子たちにご自分の赦しを、平和を与えたように、私たちは、まだ復活されたイエス様の恵みに気がついていない人たちと「主の復活」を分かち合う「証人」となることができたらいいですね。

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