33. 出版の使徒マジョリーノ少年 ――マスコミの先駆者アルベリオーネ神父

創立当時の少年の中にマジョリーノ・ヴィゴルンゴという徳の高い少年がいた。アルベリオーネ神父が一九一四年にアルバ市の近くのベネヴェエロ村で療養中に知り合った少年であったが、体が弱く、入会後二年後に亡くなった。神父は、この少年の伝記を書き、あとに続く少年たちの手本とした。

彼が聖パウロ会に入会したのは、一九一六年(大正五年)十月十五日、一二歳の時である。その翌年に入会したマルチェリーノ神父の回想によると、「マジョリーノは私と同じくアルベリオーネ神父から告解場で『君も私と一緒に来てみないか、君を新聞記者にしてあげるよ』と勧められて、入会した。私がアルベリオーネ神父に玄関のところであいさつしていると、中からコスタとアルマニが私を迎えに出てきた。この二人の少年の間から、例のマジョリーノが、利口そうな顔をのぞかせて、私をながめていた。数日後、アルベリオーネ神父は私を呼んで、『マジョリーノの守護の天使になりなさい』と勧めた。彼は私のところによく相談に来ていたが、彼ほどに全力を打ち込んで修道生活をしている子を今まで見たことがなかった。まもなく、病気のため実家で休養していたが、いちどアルバの聖パウロ会修道院をたずねてきたことがあった。ほっそりと、青白い顔で、私にほほえみかけ、雑談をしたのち、また会おうと言って別れたが、それが最後になった。」

マジョリーノは一九○四年(明治三七年)に北イタリアのアルバ市に近いベネヴェロという村に生まれた。信心深い環境に育ち小さい時からカトリック要理を学び、ミサに仕え、聖歌をならっていた。 聖パウロ会に入会してからは、「聖人になること、キリストの司祭になり、多くの人を救うために、出版の使徒になる」という理想を目指して進んだ。陽気に遊び、歌い、冗談を言い、勉強や仕事にも熱心な少年であったる「毎日少しずつ進歩したい」という意欲をもって共同生活を行った。アルベリオーネ神父は、この少年に、パウロ精紳をたたきこみ、熱意あふれる出版の少年使徒へと養育した。マジョリーノも、すなおに創立者の指導に従い、どんな決定に対しても、「長上の望むことをする」という心構えができていた。創立者は、この少年にある日「つらくないかね?」とたずねた。「はい、少しは。だけど、これも出版使徒職のためです」と応えるのであった。彼の良心には次の考えがしみこんでいた。

良い司祭は、日曜日に、神のみことばを聞く人がたくさんいるのを見、しあわせだと思う。よい新聞記者は、説教者にも多くの読者にもいつも毎日説教する。 マジョリーノは日曜になると幸福そうであった。ある時、友だちに「きょう、ぼくたちが遊んだり、祈ったり、勉強したりしている間に、一万人以上の人が、ぼくたちの説教を聞いているんだ……。ぼくたちが一万部以上、日曜日のために発行したから、こんな小さなことで善をなす機会を与えてくれた神にどれほど感謝しなければならないだろう。こんなたくさんの聴衆を前にした説教者がいるだろうか?」

彼は仕事をしながら神に自分の仕事が祝福されるように祈っていた。また聖パウロの御絵をときどき眺めて、そのご保護を願っていた。「聖パウロ、出版使徒職のために祈ってください」と。 アルベリオーネ神父は、マジョリーノをはじめ、ほかの志願者たちにも、しばしば「新聞少年は民衆の偉大な教師である」ということについて語った。神父は「聖パウロが、もし現代に生きていたら、必ずジャーナリストになっただろう」というケッテラー司教の有名なことばを引用し、ピオ九世のことばで、それを解釈した。「キリストを伝えたいという望みで、あれほど燃えたっていた偉大な使徒聖パウロは、たしかに出版を利用しただろう。出版は恩恵を伝えるための強力な手段だ。きっとパウロはできるだけたくさんのそれ、つまり本やリーフレットなどの活発で上手な使用を宣教に併用したにちがいない。」

一九一八年(大正七年)七月、マジョリーノは肋膜炎で亡くなった。パウロ会での生活は、一八か月であったが、アルベリオーネ神父はこの少年についてこう述べている。 「マジョリーノは一八か月間に、一般の生徒が三年かかって学ぶことをぜんぶ勉強してしまった。また一般の印刷工が三年かかって修徳することを一八か月で身につけた。週刊新聞(カゼッタ・ダバル)は、時にはマジョリーノ一人で、ぜんぶ印刷されることがあった」と。 このような熱心な青年を育てるため、アルベリオーネ神父は、どのような教育理念を持ち、それをどのように具体化していったか。次にその点を解明したいと思う。

・池田敏雄『マスコミの先駆者アルベリオーネ神父』1978年

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現代的に一部不適切と思われる表現がありますが、当時のオリジナリティーを尊重し発行時のまま掲載しております。

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