生きた証人 復活節第3主日(ルカ24・35~48)

「あなた方はこれらのことの証人である」(ルカ24・48)とイエスは語ります。その証人となるため、弟子たちはイエスの具体的な行動を身近に目にしていきます。その典型的な行動は、イエスが復活後に傷ついた手足を見せていくこと、また焼いた魚の一切れをみんなの前で食べていくことです。何も空想的な行動ではなく、実際に目に見える形で行動を示すことにより、イエスがほんとうに復活したことの意味が明確になっていきます。

さらに「幽霊には肉も骨もないが、あなたたちが見えるように、わたしにはそれがある」(ヨハ24・39)と語る言葉もまさにそうです。空想の世界ではない、現実の世界がよく見えてきます。こうして弟子たちは、イエスが復活したことの証人となっていきます。

かつて足尾銅山を訪れたことがあります。銅を採掘し、精錬していた場所ですが、亜硫酸ガスのために、周囲の木が枯れてしまい、現在でもその影響が出て、かなりの木が枯れ、草木が育たない状況になっています。八年前に亡くなった方ですが、小比田(こびた)さんという方(当時96歳)の家を訪ね、話を伺ったことがあります。彼は足尾銅山で30年間、車の運転手として働いた方です。コークスを燃やしたカンテラを使って、しばらくの間坑内に入り、採掘作業をしたこともあるそうです。その坑内は粉塵が舞い、1mから2m先しか見えない。坑内で仕事をしている人で、体の弱い人は5年くらいで体調を壊す。遅くても10年か15年で肺がだめになるとのこと。「真面目に働けば、お金はたまるけれど、いのちが終わりだ」と言っていました。給料も普通の労働者の3倍から4倍。「足尾に行けば金が入る」ということで、大正期の最盛期には、3万人が住んでいたそうです。そんな話を聞きながら、こうした方々の苦労の上に今の日本の社会が成り立っているのかなあと思いました。私たちが忘れかけていた昭和の時代の生き証人とも言えます。

私たちもまた、みことばに触れ、キリストの体を味わい、生きた証人として歩んでいます。

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