キリストの光という種 復活徹夜祭 (マルコ16・1〜8)

復活徹夜祭は、「光の祝福」から始まります。司祭は、復活ローソクに火を灯し「キリストの光」と唱えます。信徒は、「神に感謝」と答えた後、司祭が持っている復活ローソクの火から自分が持っているローソクに火を灯し、それをまた周りの人にローソクの火を灯して行きます。今まで闇に包まれていた聖堂は、ローソクの光で一杯になり、なんとも言えない温かい空気に包まれます。

私たちが手にしているローソクは、私たちの心に灯された「キリストの光」と言っても良いかもしれません。私たちは、弟子たちがイエス様を見捨てて逃げたたように、私たちも罪を犯してイエス様から遠ざかってしまいました。イエス様は、そんな私たちの闇の状態にご自分の光を灯してくださるお方ではないでしょうか。

きょうのみことばは、安息日が明けた朝早くマグダラのマリア、ヤコブの母マリア、そしてサロメが、イエス様が葬られた墓に行く場面から始まります。彼女たちは、安息日が終わると同時つまり土曜日の夕方に香料を買いに行きます。それは、イエス様のご遺体に油を塗るためでした。彼女たちは、十字架上で凄惨(せいさん)な姿で亡くなったイエス様に、何か自分たちの気持ちを伝えたいという【敬愛】の気持ちで一杯だったのでしょう。彼女たちは、週の第一の朝早く、陽が昇るとすぐに墓に行きます。この「陽が昇る」という言葉の中には、全地が暗くなって亡くなられたイエス様(マルコ15・33)が、罪の闇の状態にご自分の光で輝かされた、悪の支配に対してのイエス様の【愛の勝利】を表しているのではないでしょうか。

彼女たちは、墓に行きながら「墓の入り口からあの石を転がしてくれる人が、誰がいるでしょうか」と心配します。実際、墓に着くと石は、すでに脇に転がされていました。彼女たちの人間的な心配は、おん父の力によって取り除かれたのです。これは、人間的には無理なことでもおん父の力があれば可能であることを示していると言っても良いでしょう。おん父は、ご自分の子であるイエス様の所に【愛】を届けようとしている人の障害を取り除いてくださるお方なのです。

墓についた彼女たちは、右手のほうに真っ白な長い衣をまとった若者が座っているのを見て、非常に驚きます。私たちは、「真っ白な衣」と聞くと、「その衣は真っ白に輝いた」(マルコ9・3)と描かれたイエス様のご変容の場面を思い出すのではないでしょうか。そして、若者が天使だと気がつくことでしょう。しかし、彼女たちは、そこに置かれてあるはずのイエス様のご遺体がない事にも驚いたのでしょうが、若者の神々しさに驚きます。このことは、私たちの日常の中に起こる、神の働きを感じる時の驚きと似た部分があるのではないでしょうか。

若者は、「驚くことはありません。あなた方は十字架につけられたナザレのイエスを捜しているのでしょうが、ここにはおられません。復活されたのです。御覧なさい、ここがお納めした場所です。」と彼女たちに伝えます。若者は、彼女たちにまず「驚くことはありません。」と伝えます。この言葉は大天使ガブリエルがマリア様に「恐れることはない、マリア。」(ルカ1・30)と言われた言葉を思い起こすことでしょう。若者の言葉は、これから伝えることがおん父からの大切な言葉(伝言)ということを示しているのではないでしょうか。そして、彼の言葉は「ここにはおられません。復活されたのです」とはっきりと彼女たちに伝えます。若者は、イエス様が墓という闇の中ではなく光として【復活】されたことをしっかりと伝えます。この【復活】という言葉には、「力強さ、いつくしみの愛、喜び、希望」が含まれているような気がいたします。

若者は、「さあ行って、弟子たちに、特にペトロにこう言いなさい、『あの方は、あなた方より先にガリラヤに行かれます。かねて言っておられたとおり、そこで、あなた方はあの方に会えるでしょう』」と伝えます。彼の「特にペトロに」という言葉の中には、「あなたがイエス様を3度『知らない』と言った罪は、赦されたのですよ」という意味にも取れるのではないでしょうか。この言葉は、おん父の「いつくしみの愛」があると同時に、私たちに掛けられている言葉なのかもしれません。また、「ガリラヤ」という言葉には、イエス様と弟子たちが出会い、一緒に宣教をした場所です。イエス様は、遠い所におられるのではなく、私たちの身近な、生活の場におられることを示していると言っても良いでしょう。

若者の言葉を聞いた彼女たちは、われを忘れるほど恐れ、それを誰かに伝えることも恐ろしくて言えなかったのです。しかし、今私たちがイエス様の【復活】を信じることができるのは、彼女たちの中にイエス様の【復活】から頂いた【信仰の炎】が芽生えて行ったからではないでしょうか。私たちは、いただいた「キリストの光」を周りの人に灯したように、イエス様の【復活】の喜びを分かち合えるといいですね。

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