イエスの感情 四旬節第三主日(ヨハネ2・13~25)

イエスを描いた有名な絵画を見ていくと、穏やかな表情で描かれた作品に数多く出会います。エル・グレコの「盲人のいやし」、ティントレットの「五つのパンと二匹の魚の奇跡」プッサンの「姦淫の女とイエス」など。絵を見ているだけでイエスの穏やかな表情、慈悲深い姿に何だか心が落ち着きそうです。

一方、ブロック、レンブラント、エル・グレコなどが描いた「神殿から商人を追うキリスト」の作品を見ていくと、とても厳しい表情のイエスが描かれています。さきほどの作品とは様相が異なります。特にエル・グレコの作品を見ていると、同じ作者でもこんなに違うものかと驚きます。実際、神殿の境内でイエスは「縄で鞭を作り、牛や羊をことごとく境内から追い出し、両替屋の金をまき散らし、その台をひっくり返し、鳩を売る者たちに仰せになった。『こんな物はここから運び出せ。わたしの父の家を商いの家にするな』」(ヨハ2・15~16)と憤慨して語ります。穏やかさや慈悲深いイエスとは趣が全く違います。

聖書を読んでいくと、けっこうイエスの感情がよく表れている箇所に出会います。例えば、汚れた悪魔の霊に取りつかれた一人の男に対してイエスはしかりつけて「黙れ。この人から出て行け」(ルカ4・35)と。またガリラヤ湖で弟子たちが船に乗っていると嵐が起こり、弟子たちは危険を感じます。そんな時イエスは「風と荒れ狂う波をおしかりになると、静まって、なぎとなった」(ルカ8・24)とあります。さらにイエスが受難の予告をするとペトロが横でいさめます。そのことに対してイエスは「サタン、引きさがれ。この誘惑者。あなたの考えは神のものではなく、人間のものである」(マタ16・23)と。こうした箇所から、イエスは感情表現がとても豊かだったのを感じます。

イエスの感情は、私たちの感情と共通するものを見いだします。イエスが私たちからかけ離れた存在ではなく、私たちと共に歩むイエスの姿が心に浮かんできます。

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