サプライズを伝えるという種 四旬節第2主日(マルコ9・2〜10)

「サプライズ」という言葉があります。もちろんこれは、「驚かせる」とか「驚き」という意味ですが、思いもよらない「贈り物」を家族や友達に贈る時など、相手を喜ばせる時に使います。そのような時は、祝う相手への【愛】【思いやり】があるのではないでしょうか。きょうのみことばは、イエス様が変容される場面です。四旬節第2主日は、決まって「主の変容」の場面が朗読されます。これは、待ち望み迎えようとする「主の復活の姿」を私たちが黙想する、という意図があるのではないでしょうか。これは、おん父からの「サプライズ」なのかもしれません。

みことばは、「そして6日後」という言葉から始まっています。これは数節前でイエス様が弟子たちにご自分の「受難と復活」について語られ、さらに、ペトロに対して「サタンよ、引き下がれ。」(マルコ8・31〜33)と厳しく叱られた時から数えての「6日後」という意味です。弟子たちは、この6日間をどのような気持ちで過ごしたのでしょう。彼らは、もしかしたら落ち込み、混乱していたのかもしれません。

イエス様は、そんな弟子たち特にペトロをはじめ弟子たちの中でもリーダー的な弟子だけを連れて高い山にお登りになられます。この山は、タボル山と言われています。タボル山には、多くの巡礼者が訪れますが、途中道が狭くなりカーブも多くなるため大型バスでは行くことができず、小型のバスに乗り換えて行かなければなりません。山頂は、平らで意外と広くなっています。

弟子たちは、イエス様と共に山に登ります。聖書の中で【山】は神聖な場所、神がいる場所として描かれています。弟子たちは、どのような気持ちでイエス様と一緒に山道を歩いて行ったのでしょうか。山頂に着いた弟子たちは、イエス様の姿が変わるのを目にします。みことばは「その時、弟子たちの目の前でイエスの姿が変わり、その衣は真っ白に輝いた。その白さはこの世のいかなる布さらしでもなしえないほどのものであった。」と書かれてあります。聖書の中で「衣」はただの「衣服」という意味ではなく「人物、人柄」を目に見える形で表しているようです。例えば「高価なマントを脱ぎ捨て、粗布をまとって塵(ちり)の上に座った」(ヨナ3・6)とありますが、これも「悔い改める」という心の表れを表している言ってもいいでしょう。さらに、「白」は、「神にのみ由来される【聖性】」を意味するもののようです。イエス様の変容は、復活されたご自分の姿を弟子たちに示されたものだったのです。

弟子たちは、イエス様の【変容】の姿だけではなく律法の代表者であるモーセと預言者の代表者であるエリアの姿を目にします。弟子たちは、これらの場面を見て驚きます。まさに「サプライズ」です。今の私たちでいえば、教皇様が突然私たちのところに来てくださり話しかけられるとも言えるのではないでしょうか。ペトロは、「先生、わたしたちがここにいることは素晴らしいことです。三つの庵(いおり)を造りましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリアのために」と口を挟みます。ペトロは、この「素晴らしい出来事」「恵みの状態」を恐れていましたが、それでもこの時間と空間を無理にでも長く保ちたかったのです。このことは、私たちが「楽しい時間」を「後もう少し」と願う気持ちと重なるのではないでしょうか。

弟子たちがその恵みの時に浸っている間に雲が彼らを覆います。「雲」は神様の「臨在」を表します。さらに彼らは「これはわたしの愛する子。彼に聞け」という声を耳にします。この場面は、神様が私たちを「包んでくださる」ということを表しているのではないでしょうか。主である神様は、私たちを包むように一緒にいてくださり、ご自分の愛する子イエス様を私たちの【導き主】として与えてくださることを示していると言ってもいいでしょう。私たちは、もうすでにこの【恵みの時】をいただいているのです。

イエス様と弟子たちは、山を下りられます。これは日常の生活に戻ることを表していると言ってもいいでしょう。イエス様は、弟子たちに復活後の姿を【体験】を通して示されました。イエス様は、「人の子が死者の中から復活するまでは、今見たことを誰にも話さないように」とお命じになられます。逆の言い方をすれば、「復活後には、この事を言い広めなさい」とも取れます。実際ペトロは手紙の中で「わたしたちの主イエス・キリストの力と来臨をあなた方に知らせるにあたり、……主の威光(いこう)の目撃者として語ったのです。」(2ペトロ1・16)と伝えています。私たちは、イエス様からいただいた「サプライズ」である「主の変容」を通して復活されたイエス様を宣べ伝える使命をいただきました。四旬節を通して「復活」を準備するいま主との恵みを【体験】し、周りの人にこの素晴らしさを伝え、分かち合うことがでたらいいですね。

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