油断大敵 四旬節第1主日(マタイ4・1~11)

イエスが悪魔から誘惑を受けるために荒れ野へ行ったのはどのような時だったでしょうか。今日の箇所の前は、イエスが洗礼者ヨハネから洗礼を受けたばかりの時です。私たちの状況で考えるなら、洗礼を受けた時というのは、とても晴れやかな気分で、今までの生活とは違った生き方をする新たな決意の時ではないでしょうか。洗礼を受けることによって、今までとは違う新鮮さを持っているものです。イエスも洗礼者ヨハネから洗礼を受けることで、新たな気持ちになったのではないでしょうか。

一方、誘惑後はどうでしょうか。ガリラヤで宣教を開始し、4人の漁師たちを弟子にしていきます。これもまた新しい風をもたらしてくれる出来事でした。

両方の素晴らしい恵みの間にあって、イエスは三度の誘惑を受けます。特に誘惑の前は、洗礼とともに、40日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた時でした。40日間の修行を終えてほっとした時です。人間的に見て、ほっとした時というのは油断するものです。

北アルプスの鹿島槍ケ岳に登った時のことです。白馬駅から八方尾根を登り、唐松岳へ。さらに足を延ばして五竜山荘まで歩きました。山小屋に到着した時にはとてもクタクタでした。翌日、朝早く山小屋を出発し、五竜岳(2814メートル)に登り、それからキレット小屋へ。しばらくここで休憩し、このコースの一番の難所、八峰キレットを通っていきました。このキレットは名前の通り、とても切り立った所で、下を見るとぞっとするような雰囲気でした。不思議なことにそういう難所は平常以上に気をつけるためか、滑落したり、遭難した人が少ないのです。むしろこの難所を越え、しばらくした所に遭難した人の記念碑が立っていました。一見、何でもないような場所ですが、そういう所で遭難している人が多いのです。私が思うに、難所で神経を集中し、一所懸命に歩き、その後、ほっとした時に気の緩みで滑落したり、遭難したりするのかなあと思いました。ちょっとした気の緩みが遭難を起こすのでしょう。まさに油断大敵。

イエスが荒れ野で受けた誘惑、断食後のほっとした気の緩みも、イエスの弱さに負けない心身の強さがとても響いてきます。

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