08. イタリアとの永き別れ――日本と韓国の聖パウロ修道会最初の宣教師たち

大西洋横断客船の甲板に立って、無情にも遠ざかっていく祖国イタリアに別れを告げながら、私は深い感動を抑えることができなかった。自尊心のためかろうじて涙は流さなかったが、勇気ある人のように冷静に振る舞いながらも、内心は別れたばかりの祖国に対するノスタルジアが切々と込み上げてくるのだった。

私たちの慰めとなったのは、この派遣という出来事が「神のみ旨によるもの」であること、遠い異国の人々に福音を伝えるために派遣されたことを光栄に思うべきである、ということだった。

祖国が次第に遠ざかる中、私は今日まで過ごした日々を振り返り、行く手に私たちを待ち受けているであろう困難と新たな任務について考えざるを得なかった。ただ話に聞いただけの国・日本に危険を冒して行くために、今まで情熱を傾けて励んできた大切な仕事を手離さなければならなかったこと。何の予備知識もなく、習うのも話すのも到底不可能に思われる難しい言葉についての心配等々……。

あれやこれや不安と怖れが入り交じって、頭の中を駆けめぐった。しかしそうした心配とは別に、私の心の底には、自分たちに委ねられた新たな使命への誇りと、それを果たす準備として自分は今日まで最善を尽くしてきたという、揺るがぬ自信があった。

・ロレンツォ・バッティスタ・ベルテロ著『日本と韓国の聖パウロ修道会最初の宣教師たち』2020年

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