『コンプリシティ/優しい共犯』:ブラザーが選ぶ!おすすめ映画

諸外国から日本に技能学習に来ている外国人の失踪者数は、2018年だけで約9,000人いると言われている(法務省調べ)。2011年は、2,000人弱だったのが年々増え続けている。近浦啓監督は、この失踪した外国人の中でも中国人の1人の青年にスポットを当て、彼と彼を雇ったそば屋の主人との心温まる映画を製作した。

中国人の青年チェン・リャン(ルー・ユーライ)は、技能学習制度の企業に入るために謝金をして日本にやってきた。しかし、劣悪な環境のために企業を抜け出し不法滞在者となった彼は、不正なIDを取得しリュウ・ウェイという別の名前を名乗る。彼は自分を偽りながら、ある町のそば屋に就職する。

そば屋には、主人弘(藤達也)と娘カオリ(松本紀保)の2人で切り盛りしていた。弘には、もう一人息子がいるのだが関係がうまくいかず離れて暮らしていた。リュウ・ウェイは、優しく2人に受け入れられながら、このそば屋に住み込みで働きくようになる。ある時、彼は出前先の葉月(赤坂沙世)と知り合い、2人は互いに惹かれあう。彼女の夢は、中国に行き絵画を学ぶことであった。リュウ・ウェイは、葉月からデートに誘われクラブに行って踊っている最中にIDが入った財布を紛失してしまう。このことがきっかけとなり、彼が不法滞在者となったことが後になって分かってしまう。

一方、弘はリュウ・ウェイをそば職人として、指導しそばの打ち方を教えながら、実の息子のように時には厳しく、時には父親のように愛情をもって接していく。その思いが通じたのかリュウ・ウェイも弘のことを自分の父親のように慕っていく。しかし、ある一本の警察からの電話によってこの幸せな時が壊されていく。リュウ・ウェイは、弘の「君は誰だ。私をだましたのか」という言葉に、いたたまれなくなりそば屋から逃げ出すのであった。

この映画の素晴らしいのは、弘が、リュウ・ウェイの不法滞在者と知った後も、変わらぬ愛で接しているところを映している。人は、一人では生きていけないという普遍的なテーマを扱いながら、借金をしてまでも彼を日本に送った家族の思い、日本でのそば屋の親子から愛情が観る人の心を熱くする。

©2018 CREATPS / Mystigri Pictures


『コンプリシティ/優しい共犯』
2020年1月17日 (金)より新宿武蔵野館にてロードショー
■スタッフ&キャスト
ルー・ユーライ 藤竜也
赤坂沙世 松本紀保 バオ・リンユ シェ・リ ヨン・ジョン 塚原大助 浜谷康幸 石田佳央 堺小春 / 占部房子
監督・脚本・編集:近浦啓
主題歌:テレサ・テン「我只在乎ニィ(時の流れに身をまかせ)」(ユニバーサル ミュージック/USMジャパン)
製作:クレイテプス Mystigri Pictures
制作プロダクション:クレイテプス
配給:クロックワークス 
2018/カラー/日本=中国/5.1ch/アメリカン・ビスタ/116分 
©2018 CREATPS / Mystigri Pictures
公式サイト:https://complicity.movie/

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