目を覚ますという種 待降節第1主日(マタイ24・37〜44)

教皇フランシスコが来日されました。日本の教会はもちろん社会の中にもたくさんの影響を残されたことと思います。今回の来日に先立って、カトリック中央協議会をはじめ伝通やボランティアや祈り奉仕があって無事に一連の流れが終わったのではないでしょうか。このように教皇様の来日が決まり、それに向けて準備をすることで教会全体が一つになったような気がいたします。

きょうのみことばは、「主の来臨」についての場面です。この箇所の1節前に「その日、その時は、誰も知らない。天の使いたちも、子も知らない。ただ父だけが知っておられる。」とあります。主の来臨は、「いつ起こるか分からない『その日』」を待つようなことです。私たちは、いつ来られるか分かった教皇来日を準備したように【主の来臨】を準備できたらいいですね。

典礼は、「待降節」に入り、「主の降誕」を準備する期間となりました。みことばもそれと同じくして私たちの心を準備へと向けているようです。イエス様は、弟子たちにご自分が受難と復活を迎える前に、弟子としての心構えとして伝えられます。イエス様は、「人の子が来臨するときは、ちょうどノアの時と同様である」と話され、誰もが知っている『ノアの洪水』を用いられて【主の来臨】のことを説明されます。イエス様は、「洪水の前、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は飲み食いをし、娶(めと)り、嫁いでいた。そして、洪水が襲ってきて、一人残らずさらうまで、彼らは何も気づかなかった」と言われます。人々は、洪水が起こるその日まで、日常の生活をしていました。しかし、洪水が起こって一人残らずさらっていかれます。

旧約聖書の洪水の箇所のはじめには「主は仰せになった、『わたしが創造した人をはじめ、家畜、地を這うもの、空の鳥までも、地の表から滅ぼそう。それらを造ったことを悔いているから』。しかし、ノアは主の心にかなっていた。」(創世記6・7〜8)とあります。人々は、おん父が良かれと思って家畜などを造られたにも関わらず、彼らはそれらを自由奔放に使い、おん父の愛を忘れ、悪に傾いてしまします。おん父は、人々の生活をご覧になり嘆かれ、悔やまれ全てを滅ぼそうと思われますが、ただノアだけが「ご自分の心にかなった生活」をしていたため、ノアに箱舟を作るように命じて彼の家族だけを救われます。イエス様は、ノアだけが「主の心にかなった生活」を送っていたため救われたということを用い、「主の来臨」の時にどのような人が救われるかということを弟子たちに教えられます。

次に、イエス様は、畑で働いている2人の男、臼を碾(ひ)いている2人女の喩えを用いられます。彼らのうち、1人は連れていかれ、1人は残されます。この2人はどのように違いがあったのでしょうか。「ノアの洪水」のときには、おん父のことを忘れ、悪に傾いていた人々が滅ぼされました。しかし、この男女に関しては、悪い生活をしていたとは書かれてありません。彼らのいつもと同じように当たり前の生活をしていたのだと思います。彼らのどこがいけなかったのでしょうか。

少し前のイエス様の言葉の中に「彼らは何も気づかなかった。人の子の来臨もこれと同様である」とあります。もしかするとこの【何も気づかなかった】ということが一つの鍵となるのではないでしょうか。一つの意味としては、洪水がいつ起こるか「何も気づかない」ということです。そしてもう一つは、おん父に対しての無関心ではないでしょうか。彼らは、いつの間にか、「神などいなくても生活できる」という人間の傲(おご)りが生まれ、おん父の愛のわざに「気づかず」当たり前の生活をしていたのかもしれません。

イエス様は、「だから、目を覚ましていなさい。あなた方は知らないからである」と弟子たちに言われます。この「目を覚ましていなさい。」という言葉は、「何も気づかない」というのではなく、「気づくようになっていなさい」ということではないでしょうか。イエス様は、私たちに当たり前の生活をしながらでも、三位一体の神に対して心を向ける、意識するようになりなさい、と気づかせてくださっているようです。さらに、イエス様は私たちが、洗礼の恵みを受け、祈り、みことばを読んでいるので、安心しているかもしれませんが、「あなた方は知らないからである」と警告されるのです。

最後にイエス様は、家に入ってくる盗人を用心する家の主人の喩えを話されます。みことばは、再び「目を覚まして」とありますし、「あなた方も用意していなさい」とあります。これらの言葉も【気づく】ということではないでしょうか。きょうのみことばは、「主のご降誕」を準備するために、いつも「主なる神」に心を向け、意識することを伝えているようです。イエス様は、「今、この瞬間」も私たちに「目覚めていなさい」と言われておられます。私たちは、イエス様のこのお言葉に気づき「主のご降誕」の準備をすることが出来たらいいですね。

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