わたしに従いなさいという種 年間第13主日(ルカ9・51〜62)

私たちは、何か特別なイベント、大切な行事や試合などに挑む時「よし、頑張るぞ!!」と意識を高めるのではないでしょうか。スポーツでも野球やバレーボールなど団体で行う競技なども試合が始まる前に円陣を組みこれから始まる試合に向けて皆の意識を鼓舞する場面を目にします。この意識を高めということが、目標に向けて進むために必要なエネルギーとなるのではないでしょうか。

きょうのみことばは、イエス様が弟子たちと共にエルサレムへ向かう場面です。みことばは「さて、天に上げられる時が近づいたので、イエスは、エルサレムに向かって旅立とうと決心された」という言葉から始まっています。イエス様は、ご自分が「十字架上での死と復活」というおん父のみ旨を行う時が来たことを感じ、「エルサレムに向かって旅立とうと【決心】」されます。この【決心】というのは、「引きしまった表情」とか「凜とした顔つき」というような緊張をただよせるような意味を表しているようです。イエス様にとって今回のエルサレムに向かう旅は、ご自分の意識を高めなければならないほど厳しく、大切な旅だったのです。

きょうのみことばは、イエス様の感情を表している箇所ではないでしょうか。イエス様はエルサレムに向かうために、【決心】するだけではなく、まず、使いの者ものを先に遣わされます。このことは、イエス様がエルサレムへ向かう気持ちが今までにない特別なことを意味しているようです。イエス様のお気持ちはどのようなものだったのでしょう。弟子たちも、いつになくイエス様の表情が違うことに気が付いたのではないでしょうか。弟子たちは、出かけて行きイエス様のために準備しようと、サマリア人のある村に入ります。多分弟子たちは、イエス様と自分たちが宿泊する場所を準備するために向かったのでしょう。

 しかし、サマリア人は、イエス様たちがエルサレムに向かっているということを知って拒否します。サマリア人たちは、ゲリジム山に彼らの神殿を建て、ユダヤ人たちがエルサレムの神殿で礼拝することに対して相反する気持ちを持っていたようです。弟子のヤコブとヨハネは「主よ、お望みなら、天から火を降らせ、彼らを焼き払うように願いましょうか」とイエス様に言います。それは、サマリア人がユダヤ人への敵対した気持ちの表れに対しての怒りとも言えるでしょう。また、同時に弟子たちは、いよいよイエス様が自分たちのメシアとして君臨されるのだ、という意識があったのではないでしょうか。イエス様は、彼らをたしなめられます。イエス様は、たとえご自分が拒否されたとしても愛を持って赦されるお方なのです。私たちは、自分たちの意見や主張に反対する人に対してなかなか受け入れることが難しいものですし、ついつい攻撃的な気持ちになってしまいます。イエス様は、「ほかの村へ向かう」という形をとり、争いを避けられたのでした。

彼らが道を進んでいくなかで、ある人が「あなたが行かれる所なら、どこへでも従います」と言います。弟子たちの中で「私こそは、最後までイエス様の弟子として従おう」という話になっていたのではないでしょうか。彼らはイエス様がメシアとなられた時に、誰がイエス様のそばにいるのか、どのような地位にいるのかということを話していたのかもしれません。イエス様は、その人に対して「狐には穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子には枕する所もない」と言われます。イエス様は、たった今、サマリア人たちに宿泊することを拒否されたように、自分の弟子になるということは同じような目にあいますよ、それでも私の弟子になるのですか、と言われているのではないでしょうか。

イエス様は、弟子たちの話がご自分の「弟子」になるという会話の中に加わりながら、ほかの人に「わたしに従いなさい」と言われます。その人は、「まず、わたしの父を葬りに行かせてください」と答えます。ユダヤ人の律法では、何よりも身内の葬儀は大切なものでした。イエス様は、彼に「死者は死者に葬らせなさい。あなたは行って、神の国を宣べ伝えなさい」と言われます。また別の人にも「わたしに従いなさい」と言われますが、その人は、「主よ、あなたに従います。しかし、まず家族にいとまごいをさせてください」と言います。イエス様は、「鋤に手をかけてから、後ろを振り返る者は、神の国にふさわしくない」と言われます。これらのイエス様のお答えは、弟子たちにとってもまた、私たちにとっても意外な答えです。どうして、イエス様は彼らの願いに対してこのように厳しいお答えをされたのでしょう。それは、「神の国を宣べ伝える」ということがどんな事情や物事よりも最優先することを伝えているのではないでしょうか。

イエス様は、私たち一人ひとりに「わたしに従いなさい」と言われています。私たちは、時々その問いかけに迷いや揺らぎを感じることが出てきます。そんな時、イエス様が共におられるということを振り返り、新たに【決心】と信頼のうちに、「神の国を宣べ伝える」ことができたらいいですね。

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