下積みの生活 年間第13主日(ルカ9・51~62)

旧約聖書の中に「エリシャは牛を捨てて、エリアの後を追い、『わたしの父、わたしの母に別れの接吻をさせてください。それからあなたに従います』」(列王上19・20)とあります。エリアはエリシャに対して父母への別れの挨拶を赦しています。一方、今日の箇所では家族に対するいとまごいを「神の国にふさわしくない」と答えています。新約聖書ではとても厳しい言い方になっています。

10年前、司祭叙階25周年を迎え、主に従う決意を新たにする時でした。この節目、節目は前向きに歩む仕方を教えてくれます。「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国にふさわしくない」のことばがとても印象的です。

相撲や芸能の世界では下積み生活がけっこう長かったりします。人にもよりますが、下積みの生活が長いとその人の味がよく出てくるものです。月刊誌「家庭の友」の編集をして、よく女優の村松英子さんの自宅を訪問したことがあります。原稿のことや舞台のこと、時には最近の政治、宗教などの話題も…。1時間、時には2時間くらいお話をする時もありました。

話の中でとても心に残っているのは、「最近の役者さんたちはすぐ有名になろうとしたがる。下積みをしっかりやらないといけませんね。発声の仕方、舞台に立った時の姿勢、普段の生活での整理整頓など…」。基本的なことや、我慢強く忍耐して修行に励むことなど…。なるほどと思いました。当たり前のことでしょうが、それが意外と難しいものです。基礎をしっかりやること、何か言われてもそれで落ち込むことなく、助言として素直に受け止めていくこと。そうした下積みが深ければ深いほど、豊かな人間性が形成されるのかなあとも思いました。

今日のみことばにつながるパウロのことばを思い出します。「なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、…(中略)目標を目指してひたすら走ることです」(フィリ3・13~14)。下積みをしっかりして、いつも前向きに歩みたいものです。

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