72. 司祭叙階五十周年(金祝)――マスコミの先駆者アルベリオーネ神父

一九五七年(昭和三二年)六月二十九日、アルベリオーネ神父は司祭叙階五十周年(金祝)を祝った。その記念としてローマには週刊誌、単行本などの編集、印刷、発送を行う。「使徒業の家」が建設された。またパウロ家の諸修道会からは、金のカリス、芸術的な聖体顕示台、祭服などが贈呈された。記念ミサは使徒の元后大聖堂で行われたが、それにはローマ近辺のパウロ家の会員たちをはじめイタリア国内、国外の会員たちも創立者への敬愛をこめて臨席した。

この日、一三○名の司教および一六名枢機卿より祝電が届いた。さらにピオ十二世教皇自筆の次のお祝いの手紙も寄せられた。

「あなたの司祭職五○年間に、神さまがあなたに与えられた数々の賜物とお恵みとを考える時に、あなたは『すべての完全な賜物』の源であるお方に、心を尽くして感謝するに違いない。

実際にあなたが現代の非常に進歩した諸手段で、神の国を拡張しようとする決心、とくに誤謬から真理へ、悪徳から徳へ人々を引きつけるため、すべての階層の人々に浸透しやすい出版で神の国を拡張しようとする決心は、たしかにふさわしい、豊かな実りを結んだ。

今日、ほかの時代よりも、この先見の明ある企画、手段を奨励するのが、何よりも必要である。実際に教会に敵対する人たちは、人々を毒する最適の手段として、たえまなく出版を利用することに努める。

かくして、厚かましい図解を使いながら、とくに若者をふしだらに引っ張り、またあらゆる策略を用いて人々を老練な手口で誘惑している。それゆえ、出版には出版で対抗することが絶対に必要である。それは破滅に導くのに最有力手段が、逆に個人や家庭や国家の健全、完成および救いのためになるようにするためである。

それゆえ神がこれらの決心とあなたのの事業を天のお恵みでお助け下さるように私たちも喜んで心から神にお願いする。あなたが毎日実現したいと熱く望んでおられるものをすべて、神が容易に、都合よくあなたに実現させてくださるように私たちもお願いする。信心、愛徳および修道規律の遵守の内的望みに鼓舞された力と意向を合わせながら敏活に勤勉に働く人の援助が今後ともあなたの上に、いつもありますように。

以上の内的な望みがなければ、あなたの創立した四つの修道会は、効果あることも、聖人になることも、実りあることも何一つなしえない。

これらがあなたと、あなたの子らに私たちがいだいている希望であり、私たちの祈りをもって神に熱烈にお願いするところである。神のお恵みによってこれらすべてが叶えられますように。また私たちの特別の慈愛のしるしとして、愛する子あなたにまたあなたの創立した四つの修道会の会員一人一人に心をこめて、主のうちに教皇祝福を与える。」

その日の午後には建築途中の「使徒業の家」で例の通り、祝賀会が行われた。お祝いの手紙、祝辞などが読み上げられ、歌と楽器演奏がたけなわになったころ、アルベリオーネ神父は、師イエズス会の総長を自分のそばに呼んでこう言った。

「あなた方の療養の家には医者のシスターを七名つくらねばなりませんよ。」

総長は、わかったとうなずき、こんな時に話を長びかせるのは不適当と思い、前の座席に戻った。しかし、しばらくすると彼は再びその総長を呼んでたずねた。

「わかりましたか?」「ええ、プリモ・マエストロ、わかりました。医学部の入学試験に受験資格者を受けさせてみましょう」

「すでに教員免許のあるシスターや経理士の免許をもつシスターが数人いるでしょう。あの人たちにやらせたら。」

アルベリオーネ神父は、自分を祝ってくれる騒ぎの中で、年老いて病気になった神父たちのことを考えていたのである。しかし、のちにいろいろの事情で、療養所予定地には診療所が建った。

私立診療所に対する国の援助が少なくて、診療所はそれ以上拡張されなかった。

・池田敏雄『マスコミの先駆者アルベリオーネ神父』1978年

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現代的に一部不適切と思われる表現がありますが、当時のオリジナリティーを尊重し発行時のまま掲載しております。

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