忍耐強さ 四旬節第3主日(ルカ13・1~9)

今日のたとえの中にいちじくの話が登場します。「いちじく」は「無花果」と書き、花が咲かなくても実があるようです。しかし、実際には実の内側にある赤いつぶつぶが花で、それを覆っているものを花嚢(かのう)。外観からして、花には見えませんが…。

いちじくの歴史は古く、紀元前2700年にはエジプトで栽培されていたと言われ、近辺にあたるパレスチナ地方でも、一般的な果物でした。日当たりがよい場所だとよく育ち、味は落ちますが、日当たりが悪くても育っていきます。その点で、いちじくはぶどうなどに比べたら、栽培しやすい作物です。かつて八王子の修道院にもいちじくがあり、たいして手入れをしなくても、毎年実りがあったことを覚えています。

そうした中、「三年このかた、このいちじくの木に実を探しに来ているのに、一つも見つけたことがない。切り倒しなさい」(ルカ13・7)と主人が言うのも理解できます。果樹園の主人は実りを得るため、ずいぶん長い間、忍耐していたことが分かります。実りがないのは、よほど手入れが粗雑だったのでしょう。

2013年1月中旬に、大横綱であった大鵬が72歳で亡くなりました。極貧の少年時代を過ごした彼は、納豆を売り歩いて一家の生計を支えたそうです。そうしたハングリー精神は、取り組みにも現れ、日々努力、精進していった力士でした。「忍」という字をとても愛していたと言います。大鵬自身、「心の上に刀(やいば)を載せて生きていく。必死に生きてきた私の人生を、この一文字が表わしている」と語っています。どんなに辛いことがあっても、悔しい思いをしても、この言葉に励まされて忍耐したのでしょう。

3年以上もいちじくの成長を見守り、我慢強く待つ主の姿や、大横綱であった大鵬の足跡の中に、忍耐の大切さを教えてくれます。

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