普段の生活でイエス様を感じるという種 年間第5主日(ルカ5・1〜11)

私たちは、人前で自分の失敗や自分の心の中のデリケートな部分をあまり人前で話をするということはありません。よほど信頼している人の前では別ですが、それでも話の内容によっては、躊躇するものです。それは、心のどこかで「自分を守ろう、自分の負の部分を人に知られたくはない」という気持ちがあるからだと思うのです。イエス様は、そんな私たちの心にどのように語りかけてくださるのでしょう。

きょうのみことばは、イエス様が最初の弟子たちを召し出される場面です。イエス様は、全能な方ですからお一人で福音宣教されてもおかしくはないのですが、あえて、弟子たちを召し出されます。それは、きょうのみことばの中に出てくる最初の弟子たちに対してもそうですし、私たち一人ひとりに対しても同じことが言えると思うのです。私たちが洗礼の恵みをいただいたということも大きな召命と言ってもいいでしょう。

イエス様がゲネサレト湖の岸辺におられた時に、群衆はイエス様の話を聞こうとして押し寄せてきました。彼らは、会堂でイエス様の教えを聞き、癒していただいた人々であり、イエス様の噂を聞いて集まった人々だったのでしょう。彼らは、律法学者やファリサイ派にない何かをイエス様から感じ取ったのではないでしょうか。

イエス様は、湖の岸辺にあった2そうの舟のうちシモンの舟に乗られ、岸から少し離れるようにお頼みになられます。それから座られ群衆に教えられます。聖書の中で「座る」というのは、ラビが人々に教える姿のようです。ですから、群衆は、イエス様が座られるのを見ると「ああ、これからイエス様の話が始まるのだ」と思い、心が高鳴ったのではないでしょうか。きっと、シモンとみことばには出てきていませんが、彼の兄弟アンデレも舟の上で一緒にイエス様の話を聞いていたに違いありません。

さらに、この箇所でイエス様は、シモンに「少しだけ岸から離れてください」と頼まれます。イエス様は、私たちに対しても多くではなくほんの少しだけ協力を頼まれるのです。私たちは、一人ひとりイエス様との出会いが違いますが、最初の出会いに耳を傾け、応えようとすることで豊かな恵みをいただけるのではないでしょうか。

イエス様は、話し終えるとシモンに向かって「沖に乗り出し、網を下ろして、漁をしなさい」と言われます。このことは、シモンたち、漁師たちが仕事として日常行なっていることでした。イエス様は、シモンに対して何か特別なことではなく普段の当たり前のようにしていることをしなさいと言われます。これは、私たちに対しても同じとことが言えます。イエス様は、私たちに何か特別のことをして福音宣教をしなさい、とは言われません。日常の中で普段の生活、仕事を通しても十分に福音宣教ができることを伝えておられるのです。

シモンは、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も捕れませんでした。しかし、お言葉ですから、網を下ろしてみましょう」と答えます。この言葉は、シモンにとって認めたくない事実でした。漁は、日によって大漁の時もさっぱり捕れない時もあります。彼らが岸辺で網を洗っている姿は、肩を下とし落ち込んでいたのではないでしょうか。それでも、シモンは「お言葉ですから、網を下ろしてみましょう。」と言って網を下ろします。すると、おびただしい魚が掛かり、網が裂けそうになります。もし、シモンがイエス様の声に従っていなかったら一匹も捕れません。私たちが「こんなに私が良かれと思ってやっているのに」とか「私は何をやってもうまくいかない」と思っていたら、そこには、【自分が】というエゴ出てきます。しかし、シモンのように「お言葉ですから」と自分の力ではなくイエス様の言葉に委ねるときに奇跡が起こるのではないでしょうか。

シモンは、これらの魚の量を見て驚き「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」と言います。シモンの心は、まず「先生」から「主よ」とイエス様に対して変わっています。ここでシモンは、イエス様の中に【神】を感じ、【神】と向かい合う時をもったのです。ユダヤ教徒としてシモンは、【主である神】に対して祈っていたことでしょう。しかし、普段の生活の中にまで【神】を感じることがなかったのかもしれません。さらに、自分のエゴ、欠点、罪深さにも同時に気づきます。シモンの姿は、私たちの姿と言ってもいいでしょう。イエス様を前にした時、私たちは本当に弱く貧しい者です。

イエス様は、そんなシモンに対して咎めたりするのではなく、「恐れることはない。今から後、あなたは人を漁るようになる」と言われます。イエス様は、私たちの弱さ、エゴ、罪深さを良くご存知です。それでも「恐れることはない。安心しなさい。今のままでいいから」と言われ、そのままの【私】を召し出されます。私たちは、イエス様のこの大きな愛の呼びかけに応え、日常の生活を通してイエス様のみ旨を行うことができたらいいですね。

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