荒れ野の人生 四旬節第1主日(マルコ1・12~15)

イエスは40日の間、サタンに試みられます。野獣が住む所なので、イエスにとっては恐怖の場所とも言えるでしょう。イエスはそんな状況から逃げることはありませんでした。

いわき市で、傾聴ボランティアの奉仕をした時のことです。さいたま教区がURの展示場の一室(現在はログハウスの建物が、2012年1月にオープン)を借りて「もみの木」という被災者がだれでも訪れることのできる所です。そこに70歳くらいの一人の女性が訪ねてきて、こんな話をしてくれました。

「2011年3月11日に大震災があり、近くには福島の原子力発電所がありました。ニュースでも報道されていたように、その原発は水素爆発などを起こしました。その翌日、細かいことはよく分かりませんでしたが、役場のほうから『危険なので急いで避難してください』との連絡があり、ハンドバック一つだけでその場所を避難し、役場が指定した避難所の方へ行きました。役場の言い方も、なんだかすぐに戻れるような言い方だったので、そんなに重大な事故だとは思いませんでした。ところが、あれから9か月経過したのですが、戻れる気配はありません。実は以前、横浜に住んでいました。10年前に主人が定年退職し、第三の人生をのんびり暮らしたいと思って、天候も安定した福島の原発近くに移ってきました。とても平和に暮らしていましたが、原発の影響で今は仮設住宅での暮らし。津波で家を完全に失ったらあきらめがつくけれど、まだ新しい建物だし、そこに帰れないのはほんとうに辛いですね」と語っておりました。確かにまだ使える建物なのに、放射能の影響でその場所に入れないのはどんな辛いことかなあと思いました。先が見えない所にも、現代の「荒れ野」を見たような気がします。

原発のために帰れなくて、今なお荒れ野の生活を強いされている方がたくさんいます。イエスの荒れ野が、今回の震災(原発の事故)と重なって見えてきます。

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