出会いという種 聖家族(ルカ2・22〜40)

私たちは、一生のうちに、忘れられない出会いがどのくらいあるでしょうか。「出会いは宝」という言葉がありますが、私たちが人と出会うことによってたくさんの輪が広がり、さらに、その人の人間関係が豊かになり、また、人によっては、将来が変わるような出会いも生まれることでしょう。私も、ある神父様との出会いが、私の召命に大きく左右しました。

きょうのみことばは、生まれて間もないイエス様が両親に連れられてエルサレムの神殿に行き、そこで聖別される場面です。マリア様とヨセフ様は、律法に従ってイエス様を神殿に捧げます。イエス様は、神の子ですからもうすでに聖なる人でしたが、すべてを両親にお委ねになられました。パウロは、「キリストは神の身でありながら、神としてのあり方を固執しようとせず、かえって自分をむなしくして、僕の身となり、人間と同じようになられました。」(フィリピ2・6〜7)と伝えていますが、まさに、イエス様は、他の長男と同じように両親に連れられ律法を忠実に守られたのでした。イエス様は、人間の幼子と同じく、ただ両親にご自分をお委ねになられたのです。このお姿は、私たちに黙想のヒントになるのではないでしょうか。

ちょうど、イエス様が両親に連れられてエルサレムの神殿に入ってきたときに、シメオンという人も聖霊に導かれて神殿に入ってきます。みことばはシメオンについて「この人は、正しく敬虔な人で、イスラエルの慰められることを待ち望んでいた。また、聖霊が彼の上にあった。彼はまた、主が遣わすメシアを見るまでは決して死なないとの、お告げを受けていた」と紹介しています。ここで、注目したいのは、【聖霊】という言葉です。この短い節の中に【聖霊】という言葉が度々出てきています。ここに彼が、おん父にいかに忠実であったか、正しい人とされたのか、そして、おん父との密接な関わりを持っていたかということがわかるのではないでしょうか。

もちろん、「聖霊があなたに臨み、いと高き方の力があなたを覆う。」(ルカ1・35)とありますようにマリア様も聖霊に満たされた方でした。ここの箇所では出ていませんが、きっと、ヨセフ様も聖霊に満たされたお方ということはいうまでもありません。イエス様と両親、そしてシメオンとの出会いは、まさに、聖霊が働かれた巡り合わせと言ってもいいかも知れません。私たちもたくさんの人との出会いの中で、【聖霊】の働きによるものが多々あるのではないでしょうか。振り返ってみると、面白いかもしれません。

シメオンは、聖霊に満たされてイエス様を抱きあげ、神をほめたたえて賛歌を捧げます。シメオンのこの言葉は、頭で考えて出てきた言葉ではありません。おん父は、シメオンの口を通して「……この救いは、あなたが万民の前に備えられたもの、異邦人を照らす光、あなたの民イスラエルの栄光です」とご自分の子のことを公に示されます。ここではイスラエルの民だけではなく、「【異邦人】を照らす光り」とイエス様の使命を伝えています。このような言葉を聞いた両親は、不思議に思われます。天使ガブリエルのお告げによって、マリア様は、イエス様が「神の子と呼ばれる」(ルカ1・35)と伝えられていますが、ここでも、シメオンからイエス様について啓示的な言葉を受けます。

さらにシメオンは、両親を祝福して「この子は、イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするために定められ、また、逆らいを受ける徴として定められています。」と伝えます。これは、イエス様がどのようなご生涯を歩まれるかということを表しているようです。同時に、マリア様にも「あなたは自身の心も剣で貫かれます。」と言われます。イエス様もマリア様も大変な人生になることを預言されます。マリア様は、どのような気持ちでこの言葉をお聞きになられたのでしょうか。誰もが我が子の幸せを願いますが、シメオンの預言は、マリア様にとって、とても辛ものでした。マリア様もヨセフ様もシメオンの言葉を受け入れたのでしょう。それはそこに【聖霊】の働きがあったからと言ってもいいのかもしれません。聖霊は、私たちの頭で考える以上のことを教えてくださり、気づかせてくださいます。

続いて、女預言者アンナも彼らの所に近づいて来て神殿の周りの人に、イエス様のことを伝えます。ここでは具体的なこととは記されていませんが、きっと、イエス様が待ち望んでいた救い主メシアであることを伝えたのでしょう。イエス様は、律法にしたがって神殿に両親に連れられて行くことによって、多くの人との出会いがありました。私たちの周りにも、このような【出会い】があるのではないでしょうか。私たちが聖霊の声に敏感になり、その声に従って歩むとき、血縁を越えた【聖家族】が生まれることでしょう。私たちも【聖家族】の姿に倣いおん父のみ旨に忠実に従うことができたらいいですね。

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