準備をするという種 年間第32主日(マタイ25・1〜13)

「備えあれば憂いなし」という諺(ことわざ)があります。これは、「普段から準備をしていれば、いざという時にも対応ができる」という意味です。11月に入り典礼は、少しずつ「終末」の準備をいたします。私たちの生涯は、日々の積み重ねで成り立っていると言ってもいいでしょう。いつおん父の所に行ってもいいように準備をすることができたらいいですね。

きょうのみことばは、「10人のおとめの喩え」です。イエス様は、「天の国は、明かりを手にして花婿を出迎える10人のおとめに喩えられる。その中の5人は、愚かで、5人は、賢かった。」と話し始められます。パレスチナの人たちは、多くの人たちに祝っていただくように婚礼の祝宴を夕方から始めていたようです。また、花婿が花嫁を家まで迎えに行き、花嫁と共に花婿の家で婚礼の祝宴を行うようです。その際、彼らを祝うために長い行列ができ花婿の家に着くのが遅れることもあるのです。

イエス様は、このおとめたちの違いをはっきり「賢い5人」と「愚かな5人」というように分けています。彼女たちは、これから始まる婚礼を喜び、明かりを手にして新郎新婦を迎える準備をしていました。この【明かりを手にする】というのは、夜に行われる婚礼ですから、【明かり】は大切ですが、それでもイエス様があえて「明かりを手にして」というのは、もっと大切な意味があるのかもしれません。私たちにとって、この「明かりを手にする」ということは、私たちが日常の中で行っている「みことばを伝えること」と言えるかもしれません。地域社会や教会や会社での奉仕や、疲れている人や招いている客人たちへの奉仕や、何気無い気遣いなどなど私は意識しなくても「善いこと」を行なっています。その積み重ねがその人の【明かり】となるのではないでしょうか。

10人のおとめたちは、手に明かりを持って準備も万端だったはずなのです。しかし、「愚かな5人」は、【油】を準備していなかったのです。イエス様は、「賢いおとめたちは、明かりと一緒に、器に入れた油も持っていた。」と言われます。10人のおとめたちは、花婿の家で婚礼の祝宴を祝おうと「明かりを手にして」待っていたのですが、新郎新婦と彼らを祝う人々の到着が遅れたために眠くなって寝込んでしまいます。不思議なことにイエス様は、彼女たちが「寝込んだ」ということに対しては、咎めてはいません。イエス様は、私たちの日常の生活の中で「みことばを伝える時」に起こる失敗や疲労に対しては許してくださっているのではないでしょうか。私たちは、完全ではないので一生懸命に行っていても不十分なことは、当然起こります。おとめたちが寝込んでしまったように、私たちも【寝込んでしまう】ことがあってもいいのではないでしょうか。

彼女たちが寝込んでいると「さあ、花婿だ。迎えに出なさい」と叫ぶ声がします。5人の愚かなおとめたちは、自分たちの明かりの油の量では、これからの婚礼の祝宴が終わるまでもたないことに気がつきます。それで「油を分けてください」と賢いおとめたちに言いますが、彼女たちは「あなた方に分けてあげるほど、油はありません。それよりも、店に行って、自分の分を買っておいでなさい」と言います。私たちは、「少しぐらい分けてあげたらいいのに」と思うかもしれません。私たちにとってこの【油】はどのようなことなのでしょう。もしかしたら、私たちの三位一体の主への【愛】ではないでしょうか。もちろん、【愛】には、多いとか少ないという区別はありませんが、「どれだけ愛しているか。」という【深さ】は、その人によって違いはあるのではないでしょうか。
 
愚かなおとめたちが油を買いに行っている間に、花婿が到着し戸が閉められて婚礼の祝宴が始められます。彼女たちは、「主よ、主よ、どうぞ開けてください。」と言いますが、主人は、「あなた方によく言っておく、わたしはあなた方を知らない」と言います。私たちは、この言葉を聞いて「なんてひどい、なんて厳しいことを言われる」と思うかもしれません。しかし、イエス様は、同じような言葉として「『主よ、主よ』と言う者がみな、天の国に入るのではない。天におられるわたしの父のみ旨を行うものだけである。……わたしはお前たちをまったく知らない。悪を行う者ども、わたしから離れされ」(マタイ7・21〜23)と言われています。私たちが、三位一体の主を愛するということ、「予備の【油】を準備するということは、【おん父のみ旨】を行うことなのではないでしょうか。

私たちは、このみことばを聞くとき、「もしかしたら私は予備の油を準備しているだろうか」と不安になってしまうかもしれません。ただ私たちは、自分たちに与えられた瞬間、瞬間という【今】をおん父の声に耳を傾けて歩いていけばいいのではないでしょうか。私たちは油を絶やさないように、いつも準備することができたらいいですね。

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