声を聞くという種 主の変容(マタイ17・1〜9)

私たちは、何かをするとき、闇雲に行うより何か目標を置いた方がより、効果的に、またモチベーションがあがるのではないでしょうか。たとえば、やせたいと思うとき、何キロまでやせたいと思うだけではなく、「あの洋服が着られるようになりたい」という具体的な目標を持った方がやる気になることでしょう。

きょうの典礼は、「主の変容」の主日です。この箇所は、復活節第2主日でも朗読され、イエス様が復活され天の国の栄光に入られた場面を弟子たちに伝えられます。

みことばは、「6日の後」という言葉から始まります。これは、イエス様が「エルサレムに行き、長老、祭司長や、律法学者たちから多くの苦しみを受けて、殺され、そして3日目に復活すること」(マタイ16・21)を弟子たちに話された時から「6日の後」ということのようです。この間弟子たちは、どのような気持で過ごしたのでしょうか。たぶん、彼らは、イエス様を自分たちの「メシア(救い主)」として思っていたので「殺される」はずがないと思っていたでしょうし、中でも、ペトロは、「サタン、引き下がれ」(マタイ16・23)とまで言われていますのでかなり、不安な気持になったことでしょう。

イエス様は、彼らの気持をお察しになられたのでしょう。ペトロとヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて高い山にお登りになられます。聖書の中で山は、神聖な場所とされていました。イエス様と弟子たちが山頂に登られた時、イエス様の顔が太陽のように輝き、衣は光のように白く変わります。この「顔は太陽のように輝き」という言葉は、『毒麦の喩え』のときにあります「正しい者たちは父の国で太陽のように輝く」(マタイ13・42)でもありますように、「天の国」の人たちの様子を表していると言ってもいいでしょう。弟子たちは、そこで「イエス様とモーセとエリア」が語り合っているのを見ます。イエス様は、旧約聖書の中で律法を神から頂いたモーセと預言者の代表者であるエリアと共に、ご自分の受難と復活のことを語られていたのではないでしょうか。弟子たちは、あの「6日前」に、イエス様が話されたことがこれから起こることを実際に耳にしたのかもしれません。

ペトロは、この「神秘的な体験」の状態をいつまでも保ち続けたかったのでしょう。そのため、「3つの仮の庵」を立てることをイエス様に提案します。しかし、「ペトロがまだ言い終わらないうちに」とありますように、おん父からの声がします。おん父は、ペトロが「自我」のために、イエス様のメシアとしての使命を妨げることを口にする前に、光り輝く雲で彼らを覆おられます。おん父は弟子たちに「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者。彼に聞け」と言われます。おん父は、弟子たちが体験している「神秘体験」よりも、大切なことは、「メシアとしてのイエス様の声を聞くこと」を示されたことなのではないでしょうか。ペトロはこの時の様子を「わたしたちは主イエス・キリストの力と来臨をあなた方に知らせるにあたり、わたしたちは巧妙な作り話に従ったのではありません。主の威光の目撃者として語ったのです。」(2ペトロ1・16)と語っています。

ペトロにとってこの体験は、彼が宣教するための大きな原動力となったのではないでしょうか。「百聞は一見にしかず」という言葉がありますが、一度でも体験したことは、私たちにとって大きな影響を与えるものとなります。たとえば、初めてスキーをする人に滑り方を本や話しで説明するより、実際に滑ってもらった方が身に付き、その体験は、体に残って時間が経っても滑ることができます。ペトロは、このおん父から頂いた恵みを自分のものとして、「わたしは、わたしが去った後も、あなた方がこれらのことをいつまでも思い起こすことができるように努めましょう。」(2ペトロ1・15)と伝えています。

イエス様は、おん父の声を聞いて倒れ伏し、非常に恐れている弟子たちに近づかれます。創世記の中で「ヤコブは、『わたしは顔と顔とを合わせて神を見たのに、まだ命は助かっている』」(創世記32・31)とありますように、ユダヤ人たちは、「神を見た人」は、死んでしまうと思っていたので、弟子たちは恐れのあまり倒れ伏したのでしょう。イエス様は、そんな彼らの所に近づかれ、触れられ「起きなさい。恐れることはない」と言われます。弟子たちは、自分たちの罪深さ、弱さに気づき、メシアであるイエス様の弟子として宣教していくことへの不安や恐れなど、様々な思いを抱いたのではないでしょうか。

きょうのみことばは、私たちが信仰生活を送り、イエス様の素晴らしさを伝える中で、「イエス様の声を聞くこと」「イエス様が【近づかれ】、私たちを励まし、立たせてくださること」を伝えているのではないでしょうか。私たちは、いつも側にいてくださるイエス様の愛を感じて、歩むことができたらいいですね。

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