この世の宝 年間第17主日(マタイ13・44~52)

東京の中心に皇居があり、それを囲むように内堀、またそれを囲むように外堀があります。外堀と内堀の間には大使館や大学、中学・高校などがあり、けっこう閑静な佇まいです。そのためか高級な住宅やマンションなどが建ち並んでいます。四ツ谷駅に近い上智大学は紀尾井町と呼ばれ、かつて紀州徳川家、尾張徳川家、彦根井伊家があり、昔から由緒ある土地柄でした。それに対して外堀の外側、つまり四ツ谷駅から新宿方面にかけてはイメージがぐっと変わってきます。その一帯には私たちの四谷修道院、若葉修道院がありますが、割と庶民的な建物があり、一つ道を間違えると、迷路に入ってしまいます。かつて四谷修道院を建てる際、土地について文化庁からの調査がありました。それは敷地内に文化遺産が残っていないかの調査でした。土地を掘り起こしたものの、出てきたものは、盃やとっくり、食器など…。歴史的価値のある文化遺産が出てくるのかなあと期待したのですが、そうしたものは何一つ出土しませんでした。おそらくこの近辺は、紀伊家、尾張家、井伊家とは違って、かつて成り上がれなかった侍たちが住み、毎晩やけ酒を飲んでいたのかなあと想像してしまいました。もし価値ある文化遺産でも出てきたら、私たちの目の色も変わっていたかもしれません。

さて日本の教会においいて、司祭になっている人は長男が多いとよく聞きます。(そんな私は四男ですが…)。昔、長男と言うと家の後継者ということで、たいていは家に残しておいたものです。貧しい家庭にあっては、特に長男は残しておきたいのが親の正直な気持ちでしょう。ところが、神様や教会のためにささげたいという素朴な信仰の表れで、長男であるにもかかわらず、神学校へ送り出した家庭がたくさんありました。それは司祭職の中に宝物のようなものを彼らが感じたからだと思います。自分の家庭の繁栄よりも神様のみ国の繁栄を優先する。この世の宝に信仰の深さを感じます。私たちにとっての一番の宝物は何でしょうか…。

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