ただ「信じる」という種 三位一体の主日(ヨハネ3・16〜18)

私は、1週間ほどベトナムに行く機会をいただきました。それは、ベトナムにあるパウロ会の修道院の生活を体験するためです。私は、ベトナム人の志願者たちと一緒に典礼に参加し(ベトナム語のミサ、朝晩の祈り、ロザリオ)、彼らが作る食事や出される果物を食べ、彼らと語り合いました。

修道院の朝食は、パンを食べる人、ご飯を食べる人、果物だけの人、ヌードルを食べる人と、自分が好きなものを食べています。ある時、私が「ヌードルが食べたい」と言いましたら、ベトナムに滞在している日本人のブラザーから「井手口さん、もう、ベトナム人ですね」と言われました。自分でも不思議なのですが、ベトナムに滞在して、5日くらいですが言葉の壁を意識しなかったら、自分が日本人なのか、ベトナム人なのかあまり関係がないような気持ちになりました。少なくとも、この修道院では、同じ信仰を持ち、パウロ会会員という共通の意志を持った人が集っている所なのです。

きょうの典礼は「三位一体の主日」です。教会の誕生と言われる「聖霊降臨の主日」が終わり、私たちは、それぞれの場で福音宣教へと派遣されました。しかし、私たちは、福音宣教を行う中で「私一人の力ではできない」ということを知っています。私たちが福音宣教を行う時、「三位一体の神」の働きが必要不可欠なのです。

きょうのみことばは、ファリサイ派のニコデモと言う人が、ある夜イエス様の所に訪ねて来た時の会話の場面です。みことばには、「ファリサイ派の人で、その名をニコデモという、ユダヤ人たちの議員がいた。ある夜、イエスの所に来て、こう言った。『ラビ、わたしたちは、あなたが神のもとから来た教師であることを知っています。あなたが行っておられるあのような徴(しるし)は、神がともにおられなければ、誰にもできないかれです。』」(ヨハネ3・1〜2)とあります。ニコデモは、ファリサイ派の議員の中でも他のファリサイ派の人々と違い、イエス様に対して好意を持っていたようです。彼は、他のファリサイ派の目を気にしていたので、夜になって他の人に気づかれないようにイエス様の所に来たのでした。さらに、彼は、イエス様が亡くなった時にも、埋葬のために、没薬(もつやく)と沈香(じんこう)を混ぜ合わせたものを百リトラ携えて来ていました(ヨハネ19・38)。

イエス様は、「神は独り子をお与えになるほど、この世を愛された」と言われ、ご自分がおん父から何のためにこの世に遣わされたかということを彼に伝えます。おん父は、ユダヤ人たちに対して何度も預言者を遣わされたにも関わらず、おん父の方に向くことはありませんでした。そのため、ご自分の子であるイエス様をお遣わしになられます。みことばの中で【世】と言うとき、神に反対する者たちを表しているようです。それでも、おん父は、ご自分の「独り子」をこの世に遣わされたのです。ここに、おん父の「いつくしみの愛」があります。

さて、きょうのみことばの中には、【信じる】ということばがいくつか出てきます。そして、この「信じる」か「信じない」か、ということは強制的ではなく、私たちの自由意志が関係しているようです。イエス様は、私たちに無理強いをしてまでご自分を「信じなさい」とは言われません。選ぶのは、私たちですが、その「選び」の中に【聖霊】の働きがあるのではないでしょうか。

私たちは、イエス様の愛に触れ洗礼の恵みを頂きました。それは、私たちが三位一体の神を【信じた】からと言ってもいいでしょう。ただ、私たちが「信じる」というのは、限界があり、頭だけでは、「信じる」ことはできません。私たちは、「理解」することで「信じる」という傾向がありますが、三位一体の神を「信じる」というのは、「理解」というものではなく、「理解」できなくても、ただ【信じる】ということではないでしょうか。イエス様は、私たちが「ただ独り子を【信じる】だけで永遠の命を得ることができる」と言われています。そこには、お金持ちも貧しい人も、優秀な人もそうでない人も、弱さも強さも、人種も国籍もなにもかも関係なく「信じる」ということだけで、「永遠の命を得る」ことを伝えていると言ってもいいでしょう。

私たちは、【三位一体の神】を「信じなければ」と考えてしまいがちですが、「もうすでに【三位一体の神】が私たちの中におられる」のではないでしょうか。パウロは、「愛と平和の源である神が、あなた方ともにいてくださいます」(2コリント13・11)と伝えています。時々、私たちは、「この行いは、私がしたの、それとも別の方が」と思うことがあります。その境が分からなくなるほど「三位一体の神」が私たちの中で働かれているのではないでしょうか。私たちは、共にいてくださる「三位一体の神」を【信じて】、「永遠の命」を得ることができるように歩んで行けたらいいですね。

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