三位一体の主日

聖霊降臨の主日で復活節が終わると、その次の日曜日には三位一体の主日が祝われます。そこで今回は、三位一体の主日のミサの第二朗読で読まれるローマの信徒への手紙8章14〜17節を中心に、この神秘を味わってみたいと思います。

この箇所でまず目を引くのは、パウロが三位一体の神を「父と子と聖霊の神」として理解しているということです。パウロの時代には、まだ「三位一体」という言葉は定着していませんでしたが、三位にして唯一である神をパウロは「父と子と聖霊の唯一の神」として生き生きと理解しました。

ところで、皆さんは「三位一体の神」という言葉を耳にするとき、どのような印象を持たれるでしょうか。三つの異なる位格(ペルソナ)でありながら唯一の方である神という教義的な側面が先行してしまうためかもしれませんが、どちらかといえば、私たちの理解を越える、なんだか難解なこと、どこか私たちとは遠く離れたこと、私たちの生活の中ではあまり実感することのないこと……こういった印象を持つ人が多いようです。

ところが、言葉とは不思議なもので、「三位一体の神」を「父と子と聖霊の神」と言い換えると、とたんに私たちの印象は変わってきます。遠い存在だった方が、急に身近な存在となるのです。パウロは三位 一体の神を教義的に捉えるのではなく、私たちの命に生き生きと関わるお方として常に身近に感じていました。父として、子として、聖霊として様々な形で私たちの日々の歩みに深く入り込んでこられる方。パウロにとって、三位 一体の神はこのようにかぎりなく親しいお方でした。

「かぎりない親しさ」と言いましたが、パウロは神との関係を、もはや引き離されることのあり得ないほどの深い関係として捉えています。神との関係は、他の人との関係と比べることのできないほど深く親しいものです。神は私たちにとって第三者、外におられる方ではなく、私たちの内におられる方、本当の意味で私たちと一つになられた方だからです。パウロはこれを「神の霊があなたがたの内に宿っている」(8・9)とか、「神が、御子の霊をわたしたちの心に送ってくださった」(ガラ4・6)という表現で表しています。神ご自身である聖霊が、私たちの内に入って来られ、「わたしたちの霊と一緒になって」働いておられるのです(ローマ8・16)。

実に神秘的なことですが、御父と御子を結び付けている聖霊が私たちの内に宿っています。だから、私たちも御子のように「神の子」であり、御子が御父と一つであるように私たちも御父と一つなのです。私たちは、父と子と聖霊の交わりの中に、三位 一体の神の交わりの中に完全に取り込まれてしまったのです。

これは、祈りの時やミサの時にだけ起こる一時的なことではありません。聖霊が常に私たちの内に宿っているのですから、私たちの生活すべてにおいてそうなのです。どんなに小さなことであっても、どんなに神からかけ離れていると思えるようなことであっても、私たちが何かを行うとき、私たちの内に神はおられ、私たちとともに働いておられるのです。

不思議なもので、私たちは一方でいろいろな恵みを熱心に祈り求めますが、実はそのような恵みとは比べものにならないほどすばらしい恵み、すなわち神ご自身がすでに与えられているということをあまり意識していません。この恵みのすばらしさに少しでも気づけば、私たちは神に感謝と賛美の声を上げずにはいられなくなるにちがいないのにです。この恵みのすばらしさに比べれば、どんな苦難も恐れるに足りないのに(8・31〜39参照)、私たちはまだまだこのすばらしさに気づいていないのです。

この恵みのすばらしさを表現する私たちの感嘆の言葉、それが「アッバ、父よ」という言葉だ、とパウロは言います(8・15)。私たちは、実はこの言葉をほとんど毎日のように、そう、主の祈りを唱えるたびに口にしています。しかし、「天におられる私たちの父よ」との私たちの声は、三位一体の神が私たちの内に入り込み、私たちと一つになってくださったというすばらしい神秘への感嘆の言葉となっているでしょうか。この三位一体の主日を祝うにあたって、もう一度、私たちがどれほどすばらしい形で神と結ばれているかについて深く味わってみたいものです。

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