私たちの修練期 高木進修道士

去る3月19日、ヴェトナムの二人の修練者が初誓願を迎えた。彼らは聖パウロ修道会の会員になるために、自国で日本語をマスターしてから来日し、志願期、ポストラート期、そして修練に励んでこられたのである。この式に参加して私は半世紀前の修練期間中の出来事を思い起こした。

当時、修練期間は2年。その前に着衣式(1月25日聖パウロの回心)が行われた。修練者のカリキュラムは午前中に授業と聖体訪問、午後は夕食まで印刷工場で使徒職に従事した。典礼祭儀は、まだ共同司式が正常化されていなかったため4箇所の祭壇にミサの準備をした。「第二ヴァチカン公会議公文書」の発行もこの頃である。

ある授業の中で「パウロ家族の祈祷書」くパウロをたたえる連祷〉の中から、各自一つの言葉を選び解釈を付け加えて冊子にしたこともある。

1年の後半から「茶道」も学び、翌年正月、「初釜式」に参加するため、師匠の住む福島までマイクロバスで出かけることになった。当時、東北高速道路は新設工事中のため国道4号線をひたすら7時間かけて走った。初釜式は、和服姿のお弟子さんたちとベルトにロザリオを着けたスータン姿の私たちであったが違和感はなかった。帰りは途中から雪に覆われ、福島から赤坂修道院に戻るまでの所要時間は13時間余り、タイヤ・チェーンの着装不備で危機一髪の恐怖も体験した。

2年目に入り、この年から総会の決議によって修練期間を1年に、修練中の院外生活日数は20日に改正された。因みに、この年(1970)は「大阪万国博覧会」が開催された年でもあったので、私たちは休暇を利用して見学することになった。(ただし、宿泊場所は各自で探すことが条件である。)

箱根山荘を夜8時ごろ出発する深夜運転の往復ドライブである。私が運転した車は別名(装甲車)と呼んでいた。高速道路でも違反が出来ない速度である。翌朝6時ごろ大阪・女子パウロ会に無事到着した。シスター方が朝食を準備してくれている間に私は5分程度熟睡していた。

万博会場のパビリオンはどこも人並みで混雑していたが、特に「宇宙船アポロ」が持ち帰った「月の石」を展示しているアメリカ館は、並ぶこと2時間余り。二日間フルに各国のパビリオンを制覇した気がする。帰りの高速道路で濃霧に会い4〜50メートル先が見えない状況に覆われた。前方を走っていた修練長の車が蛇行運転を始めたので心配になったが、幸い事故もなく昼前に箱根に戻った。

「大阪万国博覧会」を含め滞在先の箱根山荘(旧建築)で、富士山登山、芦ノ湖畔一周、真鶴海岸でのキャンプなど行った。

休暇を終え修道院に戻ると、修練期間を半年近く短縮されることが知らされた。従って、10月25日に初誓願を宣立ことになり、赤坂修道院での誓願式も私たちで最後となった。

今は、相手の言葉が普通に聴き取れない突発性と思われる難聴に見舞われているが、志願期に赤坂から八王子に移るための土地の下見や八王子修学院の建築中の視察に運転を頼まれて同行、修練期・有期誓願期の行事や出張宣教販売を通して運転に携わった機会が多かったためか思い出は尽きない。

これも神様から与えられた修道生活の想定外の恵みかも!

(高木進修道士)

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