キリストの聖体

典礼暦の中には、月日の決まっている祝日と年によって月日の変わる祝日があります。前者はたとえば主の降誕の祝日や様々な聖人の祝日で、後者が主の復活に関連する祝日です。キリストの聖体の祭日もその一つで、復活節の最後の日曜日(聖霊降臨の祭日)の2週間後の日曜日に祝われます。

主日や祝祭日の朗読はいくつかの例外を除いて3年周期(A年、B年、C年と呼ばれます)で1年ごとに違った箇所が読まれます。A年は、キリストの聖体の祭日のミサの福音はヨハネ6章51〜58節が読まれます。その中でイエスは「わたしは……生きたパンである」(51節)。「わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠の命を得」(54節)る、と言われます。

聖木曜日の最後の晩餐のミサで祝うように、イエスは死を前にして御自分を命のパンとして弟子たちにお与えになります。パンとして自分を与える、それはイエスのなさり方を見事に表わしているといえます。イエスはすべての人を救おうとなさいました。そのために、イエスは私たちがどのように生きるべきかを示してくださいました。言葉で教えるだけではなく、十字架の死に至るまで自ら御父の望みを貫き通し、どのように生きるべきかを示してくださいました。しかし、それだけではありません。イエスは世の終わりまで私たちとともにいると約束してくださいました。しかも、外側から私たちを守り導かれるだけでなく、私たちのパンとなり、私たち一人一人の内に入ってくることを望まれました。イエスは、私たちの内側へと入って来られ、私たちの身となり肉となり、私たちともはや分かたれないものとなって、私たちを生かしてくださるのです。私たちが、自分の力ではできないことを、イエスとともにイエスと一つになって、生き抜くことができるように、このようにしてくださったのです。私たちは、ミサのたびにこの「キリストのからだ」をいただき、キリストと一つになって、キリストの救いにふさわしい生き方をすることができるように、日々新しい者としていただいているのです。

ただ、ヨハネ福音書を今回取り上げた箇所の前の箇所も含めて読んでみると、イエス・キリストのからだをいただくということはミサの中で聖体拝領をすることだけを意味しているのではないことが分かります。35節でイエスは「わたしが命のパンである。わたしのもとに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決して渇くことがない」と言われます。この表現は明らかに54節の「わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠の命を得」るという表現と対応して語られています。つまり、イエスのからだである聖体をいただくためには、イエスのもとに行き、イエスを信じることが必要であるということです。イエスのもとに行き、イエスの教えを学び、イエスの中に救いがあることを信じる時、イエスも私たちの中に糧として入って来られ、私たちがイエスの模範に倣うことができるように導かれるのです。

イエスの生き方こそが救いであることを理解し、その生き方に倣うこと、つまり私たちも自分自身を糧として人々に与えていくことです。パンは人を選びません。パンを食べる人が望めば、その中に入って行きます。パンはいったん人の口の中に入れば原形をとどめることはありません。かみくだかれ、消化しやすい状態へと変えられていきます。しかしなくなってしまうことはありません。その人のエネルギーとなって、内側からその人を生かし続けます。

私たちには仲のよい人がいる反面、どうにもつきあいにくい人がいます。分け隔てなく、人の中に入っていくことはそう簡単なことではありません。自分の型を崩して人から「かみ砕かれる」のにはどうしても抵抗があります。いや、私たち自身の力ではいつまでたってもできないことでしょう。だからこそ、イエスはご自分をパンとして私たちに与えてくださったのです。信じてこのパンをいただく者が、イエスに倣って自分をパンとして人々に与えていくことができるように、こうして永遠の命に与ることができるようになるために。

イエスを信じること、ご聖体をいただき内側から生かされること、イエスに倣って自分を人々のための糧として捧げていくこと、この3つが揃った時、確かに私たちは永遠に生きることになるのです。

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