水を飲ませてくださいという種 四旬節第3主日(ヨハネ4・5〜15、19b〜26、40〜42)

九州のある村に、宣教師が来ました。その村の長老と言われる人は彼に「私とあなたと問答をして、私があなたを信じたなら、洗礼を受けましょう」と言ったそうです。長老は、宣教師の話した言葉に感銘を受け洗礼を受けました。さらに、彼が洗礼を受けたことでその村全体の人が洗礼を受けたそうです。

きょうのみことばは、イエス様と弟子たちがユダヤからガリラヤへ行く途中に寄ったサマリアでの出来事です。きょうのみことばの前に「しかし、サマリアをお通りにならなければならなかった」(4・4)とあります。ユダヤからガリラヤへ行くにはいくつかの道があるのですが、ユダヤ人たちは、サマリアを避けてガリラヤへ行っていました。しかし、イエス様は、あえて、このサマリア経由でガリラヤへ行かれたのです。それは、おん父のご計画であり、イエス様のいつくしみの愛でもあったと言ってもいいでしょう。

イエス様たちは、お昼頃サマリアのシカルという町に着かれます。弟子たちは、イエス様のために食べるものを捜しに出かけて行きました。イエス様はお疲れになり井戸の傍らに腰を下ろされています。そこへ、水をくみに来たサマリア人の女性に「水を飲ませてください」と声をかけられます。水を汲む作業は、かなりの重労働ですので普通ですと暑い日中ではなく、まだ涼しい朝の内に行っていました。しかし、彼女は、朝ではなく水を汲みに来る人が少ない時間帯を選んだのです。それは、彼女が町の人と顔を合わせたくない事情があったからでした。

イエス様は、そんな彼女に「水を飲ませてください」と声をかけられたのです。イエス様がサマリアを通られたのは、彼女に会うためだったと言ってもいいかもしれません。彼女にとってこのことは、ユダヤ人がサマリアを通ることもまた、声をかけることも、ましてや、水を飲ませてと頼むことも信じられないことだったのです。ユダヤ人たちは、自分たちが穢れることを避けるために、サマリア人たちが使う器を使いませんでした。それは、サマリア人である彼女も知っていましたので、「主よ、あなたはくむ物を持っておられませんし、」と答えます。彼女は、このユダヤ人は、どうして自分に声をかけたのだろうか、と疑問を思ったのかもしれません。イエス様は、「水を飲ませてください」という話から、永遠に渇くことがないご自分が与える水のことを話され、「……わたしが与える水は、その人の中で泉となって、永遠の命に至る水が湧き出る。」と言われます。この言葉は、「洗礼の恵み」のことを言われているのではないでしょうか。洗礼の恵みを頂いている私たちは、永遠に命を頂くために日々の生活を送り、信仰生活を通して私たちの中から湧き出る水を人々に与えるという使命を頂いると言ってもいいでしょう。私たちもイエス様のように、人と出会うことでこの永遠に至る水を分かち合えたらいいですね。

彼女は、イエス様がただのユダヤ人ではないことに気がつき、日常の会話から信仰の会話へと話題を変えて行きます。イエス様は、彼女が心から望んでいる心のよりどころ、信仰生活への渇望をご存知だったのでしょう。それで「婦人よ、わたしを信じなさい。この山でもなく、エルサレムでもない所で、あなた方が御父を礼拝する時が来る。……今がその時である。……神は霊である。だから、神を礼拝する者は、霊と真理において、礼拝しなければならない」と言われます。イエス様は、場所や形だけの祈りではなくどんな所でも、どんな時でも、「霊と真理において礼拝する」ことの大切さを教えておられます。このことは、私たち一人ひとりに対してのイエス様からのメッセージなのです。

彼女は、イエス様と話すうちに、自分だけではなく町の人たちにもイエス様を紹介したい、自分が頂いている恵みを分かち合いたいという気持に変わって行ったのでしょう。みことばは、「『あの方は、わたしのことを、すべて言いあてました』と証言した言葉に寄って、イエスを信じた。」とあります。彼女は、今まで町の人の目を気にして、彼らを避けていました。しかし、イエス様と会話するこことで「永遠の命に至る水」が湧き出たのでした。イエス様は、彼女の「その水を私にください」という心からの祈りを聞き入れられていたのです。町の人は、「わたしたちは、もうあなたの話によって信じているのではない。この耳で聞き、この方こそまことに世の救い主であること分かったからだ。」という信仰告白をします。ここにイエス様たちが、あえてサマリアを通られた理由があったのです。私たちは、人との出会いの中で、お互いに心が豊かになるということはないでしょうか。そんなとき、私たちは、イエス様から頂いた「永遠の命に至る水」を分かち合っているのかもしれません。私たちは、彼女のように「その水をわたしにください」と素直な気持で心から祈り、イエス様の愛の水を飲み、いつも潤いがある心で人と接することができたらいいですね。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. 東日本大震災後75カ月目を迎えて「震災のための祈りのリレー」が行われます。祈りのリレーは毎月11…
  2. 昨年の7月末からベトナムのホーチミン市にやってきて、ベトナム語の勉強を始めました。そろそろ10か月に…
  3. シエナの聖ベルナルディノの記念日は5月20日です。ベルナルディノは1380年9月8日にイタリアのマッ…
  4. 最近はインターネット、ケータイなど、コミュニケーションの手段がとても発達しました。多数の人とのコミュ…
  5. 2017年5月7日、聖パウロ修道会インド・ナイジェリア・英国・アイルランド管区のフランシスコ・ザビエ…
“神父・修道士になるには”

ピックアップ記事

  1. 今年の7月20日からベトナムのホーチミンに派遣され、7月25日からベトナム語学校に通っています。多く…
  2. 聖パウロ修道会 日本管区長 鈴木信一神父より、皆さまへのクリスマスメッセージをお届けします。ぜひご覧…
  3. 総長ヴァルディール・ホセ・デ・カストロ神父は、2017年1月18日、カナダ―フランスの地区長として、…
  4. 【ベストセラーランキング】サンパウロ全店舗の売れ筋ランキングをご紹介します☆ご購入のご参考に…
  5. ハンドペインティングによってリアルに仕上がったフィギュアは、クリスマスを祝うオブジェとして、また、お…

アーカイブ

PAGE TOP
Translate »