灰の水曜日

復活祭から換算してその46日前にあたる日が灰の水曜日です。復活祭の日は年によって変わるため、灰の水曜日も毎年日付が変わります。この灰の水曜日から私たちは四旬節に入り、40日にわたる回心と犠牲の期間を過ごします(余談になりますが、40日の回心と犠牲の期間なのに46日前から始めるのは、この間に日曜日が6回あるからです。日曜日は主の復活を祝う喜びの日ですから、日数に数えません)。

さて、今回取り上げる福音は、灰の水曜日のミサで朗読されるもので、マタイ6・1〜6、16〜18です。この個所には、施し、祈り、断食という3つの善行についての教えが述べられています。それぞれの善行について語られてはいますが、3つとも同じパターンで構成されています。まず偽善者たちの態度が述べられます。彼らは、施しにせよ、祈りにせよ、断食にせよ、すべて人に見てもらい、ほめてもらうために行っており、そのため「彼らは既に報いを受けている」ことが指摘されます。その上で、彼らとは逆に、隠れて善行を行うようにということが命じられます。そうすれば、「隠れたことを見ておられる父が報いてくださる」からだとの理由が最後に述べられます。同じパターンを繰り返すことによって強調されているのは、善行をする目的や理由がどこにあるのかということです。私たちは、人に見てもらうために善行をするのか、それとも神とのかかわりのためにするのかということが問われているのです。

ところで、「偽善者」の態度が非難されているとはいえ、人に見せるために善行を行ってはならないという命令が、この教えの中心なのではありません。むしろ、中心は、隠れた神に見ていただくために善行を行うようにという命令のほうなのです。つまり、善行はただ純粋に神のために行われるべきものであって、他の理由や目的が入り込んではならないということです。人に見せるためでなくても、他の理由、たとえば規定で定められているからという理由で善行をするなら、それも純粋に神に向かってなされる善行とは言えないでしょう。具体的に言えば、四旬節に行われる回心や犠牲や断食も、ただ単に四旬節に定められているから行うのではなく、「神に見ていただくために」行うようにということです。

だとすれば、善行をするときに根本的に問われているのは、私たちの神とのかかわりということになるでしょう。私たちは、神に見ていただくだけで十分だと心から思えるような深い絆を神との間にはぐくんでいるでしょうか。私たちの神とのかかわりは、他に理由がなくても、あたりまえのように善行を生み出すだけのものとなっているでしょうか。

そもそも、神と私たちとの絆は、神が私たちを愛してくださったことから始まりました。私たちが罪人であり、愛されるにふさわしくない者であったにもかかわらず、神は私たちを愛してくださいました。どうしようもない私たちを、かぎりない恵みで満たしてくださいました。この神の愛の大きさに気づいたとき、私たちはどうにかしてこれに応えたい、少しでも愛を返したいと思うようになるのです。

神の愛に気づいた人は、神と少しでも共にいたい、共に語り合いたいと思うようになり、神との貴重な時を持とうとします。それが祈りです。神の愛の力を知っている人は、すばらしいと思えるものや自分の欲しいものを捨ててでも、神の愛を選び取りたいと望みます。この望みを断食や犠牲でもって表現します。また、自分を愛してくださった神は、同じ豊かな愛でもって他の人をも包み込んでくださいます。だから自分もその人を愛さないではいられない、必要なものがあれば施しをしないではいられないのです。神との深い愛の絆に生きている人は、あたりまえのように祈り、犠牲、施しを行います。神との絆のほかに理由はいらないのです。これが福音の命じる善行です。

四旬節に善行や犠牲を行う決心をする前に、もう一度、私たちの神との絆がどのようなものであるか、問い直してみましょう。この絆が善行を生み出すほど深く生き生きとしたものであるかどうか、反省してみましょう。四旬節に、一人でも多くの人が神との絆のすばらしさを再発見し、豊かな善行の実りを生み出すことができますように。

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