おん父に信頼するという種 年間第8主日(マタイ6・24〜34)

私たちは、日々の生活中で大なり、小なりストレスを抱えて生きています。以前、NHKスペシャルで「キラーストレス」について取り上げられている番組を観ました。この中で、「ストレス」が私たちの体にどのような影響を及し、最後には、「死」の原因となるということが医学的に証明されていました。同時に、その「キラーストレス」を回避する一つの方法として、「マインドフルネス」ということも放映されていました。これは、「今の瞬間を、あるがままの自分を受け入れる、物事の価値判断をしない時間を過ごす」ことを意識しながら、「呼吸に集中する」「五感に集中する」「頭の先から足の先まで注意を向ける」という方法です。なんとなく禅や瞑想に似ていますね。

きょうのみことばは、「神と富みに仕えることはできない」ということと「神様への信頼」ということで、何度も【思い煩い】という言葉が繰り返されています。イエス様は、ご自分のところに集まった人たちに「誰も2人の主人に兼ね仕えることはできない。……あなた方は神と富とに仕えることはできない」と言われます。私も志願者の頃に係の神父様から、「皆さんが執着しているところは何ですか」と言われたことがあります。その時は、ピンと来なかったのですが、私たちは、知らない間に「自分が執着している方に傾いたり、こだわったりする」傾向があるようです。イエス様は、私たちが「この世の富みだけに傾きやすい危険性」に注意を促されているのではないでしょうか。

イエス様は、私たちがどのようにしたらいいのかを「空の鳥」「野のゆり」の姿を通して教えてくださっています。イエス様は、「それ故、あなた方に言っておく、命のために何を食べ、何を飲もうか、また体のために何を着ようかと思い煩ってはならない」と言われます。最初にイエス様は、「あなた方に言っておく」という言葉からはじめられ、人々に「大切な教えを伝えますよ」と注意を促します。それから、「日常生活の中での衣食住」について語られます。ここで、イエス様は、「命のために」と言われます。私たちは、生きるために「食べること」は大切です。私たちは、食べないと生きていくことはできませんし、裸だと外に出歩くこともできません。イエス様は、私たちに「食べてはいけない」とも「何かを着てはいけない」とも言っておられません。ただ、衣食住にだけに【過度の執着】をしないようにと言われているのではないでしょうか。このことは、私たちの生活を振り返る一つの黙想のヒントになるかもしれません。

イエス様は、最初に「空の鳥を見なさい。」と言われます。イエス様が言われる「種蒔き」「刈り入れ」「倉に収める」という作業は、主に男性が行っている仕事を言われています。これらは、日常の仕事をですから大切なことです。もちろんイエス様は、ここでも「仕事をしてはいけない」と言われているのではありません。イエス様は、「おん父は、空の鳥でさえ心にかけ養ってくださっているのですから、ご自分に似せて造くられた、あなた方を養わないはずはないでしょう」と私たち一人ひとりに言われているのではないでしょうか。

また、イエス様は、「なぜ、着る物のことで思い煩うのか。野のゆりがどのように育つかを考えて見なさい。ほねおりも、紡ぎもしない」と言われます。これらは、女性の様子を言われているようです。ここでもイエス様は、「野のよりでさえこのように美しく装ってくださっているのに、ご自分に似せて造られているあなた方を装わないわけはないでしょう」と言われます。イエス様は、「命は食べ物に勝り、体は着る物に勝っているではないか」と言われます。私たちがいま、生きていることは、おん父がいつも心にかけ、養ってくださっているからなのです。イエス様は、「あなた方の誰かが思い煩ったからといって、一刻でも寿命を延ばすことができるだろうか」と言われます。私たちは、1日のうちでどのくらい、小さなことで思い煩っているのでしょうか。

そんな私たちにイエス様は、「まず、神の国とその義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな、加えて、あなた方に与えられる。」と言われます。イエス様は、私たちに「『思い煩っている時間』があるのでしたら、『神の国とその義』のことを思ってください」と言われているのではないでしょうか。イエス様が言われる「【神の国とその義】は、天に宝を積むこと」と言ってもいいでしょう。私たちの日々の生活の中で人に優しくしたり、奉仕をしたりと、イエス様の愛を人々に伝えることで、私たちは、「【神の国とその義】を求められる」のではないでしょうか。イエス様は、「その日の苦労はその日だけで十分である」と言われます。私たちは、この言葉でどんなに癒されるでしょうか。私たちのために、必要なことをくださるおん父に信頼して歩むことができたらいいですね。

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