御聖体は種なしパン? それともふかふかパン?

カトリック教会の御聖体は種なしパンですが、正教会の御聖体はふかふかパンだと聞きました。ほんとうですか? なぜですか?

カトリック教会と正教会とでは、使用しているパンの種類が異なるというのはほんとうです。異なる種類のパンを使用する最大の理由は、イエス様の最後の晩餐が過越の食事であったと理解するかしないかにあります。

カトリック教会は、最後の晩餐を過越の食事であったと理解します。過越の食事では種なしパンしか用いませんから、御聖体も種なしパンにして当然だと考えます。いっぽう正教会は、最後の晩餐は過越の食事ではなかったと理解します。ですから通常のふかふかパンを用いて当然だと考えます。

四福音書の中の、マタイ、マルコ、ルカの三福音書においては、最後の晩餐は過越の食事だったと明言されています。いっぽうヨハネ福音書では、最後の晩餐は過越の食事ではなかったことが断言されています。福音書の成立年代を考えると、マタイ、マルコ、ルカがそろって、最後の晩餐は過越の食事だったと言っているのに、最後に書かれたヨハネ福音書は、先輩の記録を真っ向から否定して、最後の晩餐は過越の食事ではなかったと書いたのです。どちらが事実で、どちらが事実でないかは、判断し難いものがあります。ただ、どちらにせよ、イエス様の死を過越祭と結びつけて理解しているという点では共通しています。最後の晩餐と過越祭を切り離して記述しているヨハネでも、実はこの二つはしっかりと結び付けられています。ヨハネ福音書では、イエス様の死は過越祭のために屠られる小羊の死として理解されているのです。

以上のことから、ヨハネ福音書の伝統を受け継いでいるのが正教会で、マタイ、マルコ、ルカの伝統を受け継いでいるのがカトリック教会だと言えるでしょう。もっとも初代教会においては、ふかふかパンを用いるカトリック教会もあり、逆に、種なしパンを用いる正教会もありました。北イタリアのミラノの教会において、ふかふかパンが用いられていたことはよく知られています。しかし時代が下るにしたがって、カトリック教会では種なしパンが、正教会ではふかふかぱんが用いられることが規則となりました。

カトリック教会が種なしパンを用いるのも、正教会がふかふかパンを用いるのも、どちらも聖書に基づく教会の伝統だと言えます。

●回答者=鈴木信一神父

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