主の奉献

2月2日は、主の奉献の祝日です。これは、幼子イエスが、エルサレムの神殿で神に奉献されたことを記念するものです。

ルカによる福音書によると、「それは主の律法に、『初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される』と書いてあるから」(2・23)でした。出エジプト記13・1〜2には、「主はモーセに仰せになった。『すべての初子を聖別してわたしにささげよ。イスラエルの人々の間で初めに胎を開くものはすべて、人であれ、家畜であれ、わたしのものである。』」とあります。この掟は、イスラエルの民のエジプトからの解放の出来事に結び付けて説明されています。つまり、「主は、力強い御手をもって我々を奴隷の家、エジプトから導き出された。ファラオがかたくなで、我々を去らせなかったため、主はエジプトの国中の初子を、人の初子から家畜の初子まで、ことごとく撃たれ」(出エジプト記13・14〜15)、イスラエルの民の初子を救われたため、このことに感謝して、初子を神に捧げるというのです。

初子というのは、どの文化の中でも、特別の意味を持っているようです。初めての子ということで、周りの人びとの喜びも格別でしょうし、社会的に見ても「跡取り」ということで特別の目で見られてきました。生まれて来る子はすべて喜びの源であるとはいえ、その中でも長子はさまざまな意味で最も大切な存在だったわけです。その大切な初子がすべて撃たれていく中で、イスラエルの家の初子だけは生かされました。そして、イスラエルの民は一人も欠けることなくエジプトから出て行くことができました。このような特別な恵みを受けたのだから、いちばん大切な初子を自分のために取っておくことをせずに、神のために捧げようというのです。生かしてくださったのは神なのだから、その神に命のいちばん大切なもの、すなわち初子を喜んで神に捧げようというわけです。

ヨセフとマリアは、住民登録のために、ナザレから長旅をした上、宿屋には宿泊する場所もないまま、初めての子を産まなければなりませんでした。大変な状況の中での出産でしたが、それだけに無事に子どもが生まれたときの喜びと神への感謝も言い表せないほど大きかったことでしょう。彼らは、まさに「律法に定められているとおり」、命の与え主である神に心から感謝しながら、その初子を奉献したのです。

しかしながら、神の子であるイエスの奉献には、もう一つ大きな意味が隠されているようです。それは、イエスがヨセフとマリアにとっての初子であると同時に、いやそれ以前に父である神の長子であり、最愛の独り子であるからです。神は、ご自分の長子キリストを自分のために取っておくことはせず、私たち人類の救いのために捧げられました。神は、人びとを愛するがあまり、その独り子をお与えになったのです(ヨハネ3・16参照)。

イエス・キリストの奉献は、つまり、神が愛する人間のために、その最愛の独り子を捧げたということであり、これに応えてヨセフとマリアがイエスを神のために捧げたということなのです。神の人間に対する限りない愛、人間の神に対する限りない愛と感謝、この二つが自分のいちばん大切なものを捧げるという形で表現された出来事がイエス・キリストの奉献ということなのでしょう。

神は、独り子イエス・キリストを私たち皆のためにお捧げになりました。私たち一人ひとりにご自分のいちばん大切なものを捧げてくださったのです。私たちはこの神にどのように応えているでしょうか。私たちも自分のいちばん大切なものを神のために喜んで捧げているでしょうか。それとも、大切なものは自分のために取っておいて、なくてもいいものだけを神に捧げてはいないでしょうか。それも、もしかしたら、いやいやながら……。ミサの献金、教会の奉仕の務め、日々の生活の中での愛の業など、神に対する奉献の機会はいくらでもあります。私たちのために神がその独り子を捧げてくださったことの意味を深く感じ取り、私たちも「神の奉献」にふさわしい「奉献」でもって応えていくことができますように。ヨセフとマリアの取り次ぎを願いながら。

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