ご存知ですか? 2月5日は日本26聖人殉教者の祝日です

突然何かと思われるかもしれませんが、私は子どものころ、時代劇に夢中になっていたことがあります。小学生から中学生にかけてのころでしたが、ほとんど毎日一つはテレビの時代劇を見ていました。最初は、親が時代劇を見ているのをいっしょに見ていたのでしょうが、いつの間にか自分から見るようになっていました。そんなある日、親戚の家で「水戸黄門」だったか「暴れん坊将軍」だったかを見ていたとき、突然、叔父が苦虫を噛みつぶしたように、「徳川、徳川か。徳川は俺たちの仇じゃないか。徳川がいなければ、今ごろ、日本はキリスト教国だったのに」とつぶやいたのです。この言葉は私の心に非常に強く残りました。

さて、2月5日は日本26聖人殉教者の祝日です。1549年にフランシスコ・ザビエルの宣教によって日本に伝えられたキリスト教は、宣教師や信者の熱意もあって瞬く間に広まっていきました。しかし、その後に天下を取った豊臣秀吉はキリスト教の信仰を禁止しました。26聖人はこのような時代に生き、殉教を通して信仰を証ししました。徳川家が将軍職に就いてから後は、キリスト教弾圧はさらに厳しくなりました。こうして、二十六聖人に続いて数えきれないほど多くの信者が命を捧げていきました。

歴史に「たら」「れば」は禁物と言いますが、もし徳川家がキリスト教を弾圧していなかったとしたら、今の日本のキリスト信者の数も大きく変わっていたかもしれない……ついつい、そのように考えてしまうことがあります。しかし、当の殉教者たちは自分の命を奪っていく人たち(役人や支配者たち)に対してどのような思いを持っていたのでしょうか。使徒言行録のステファノ殉教の場面を読みながら考えてみたいと思います。

ステファノはユダヤ人たちの中で力強くキリストを証しします。そのため、彼らの怒りを買い、町の外に引きずり出されて石殺しにされた最初の殉教者です。ステファノは今まさに命を失おうとしているとき、三つの言葉を口にします。一つは神への賛美(56節)、次に主への自己奉献(59節)、そして最後が自分を殺そうとしている人たちのための祈り(60節)です。これは殉教ということの意味を実にみごとに表しているのではないかと思います。

殉教は、まず第一に神への賛美です。神の業への賛美と感謝です。しかし、この賛美は奉献へとつながっていきます。神だけに信頼を置き、自分のすべてを委ねて、忠実に生きること。神のためであれば、自分の命すら惜しまずに奉献するようになります。しかし、殉教はそれだけのものではありません。自分に危害を加えている人たちのための祈りをも伴うのです。私たちは、殉教者が残された信者のために命を捧げると考えがちですが、彼らの心はむしろ自分を殉教に追い込んだ人たちの救いへと向けられているのです。それは殉教者がキリストの十字架を生きようとしているからであり、キリストは自分を十字架にかけた人びと(つまり、私たち)の救いのために命を捧げてくださったからです。だから、26聖人殉教者も、自分たちを殺そうとしている役人たちや時の支配者たちを仇と思うどころか、かえって彼らのために心からの祈りを捧げたにちがいないのです。

今日の日本では、信教の自由が保証されています。自分が殉教の場に立たされることはまずないでしょう。しかし、だからこそ毎日の生活の場で殉教者の信仰を生きているかどうかが問われているのではないかと思います。殉教者の信仰を生きるとは、神がキリストを通して行ってくださった救いの業を深く味わい、神を心から賛美し、自分のすべてを神に委ね、そして自分に危害を加える人のために祈る(しかも、いやいやながらではなく、自然に喜びをもって祈る)ということです。ステファノの最後の言葉が、自分を殺そうとする人びとの救いを願いながら、彼らを主に委ねる祈りであったということは、本当に象徴的なことです。私たちも、いざというとき、自分に危害が加えられるとき、自分に面倒をかける人があるとき、そういう人のために喜んで祈ることができるような信仰を身につけたいものです。

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