ほふり場に引かれる羊 年間第2主日(ヨハネ1・29~34)

洗礼者ヨハネは、自分の方へイエスが来られるのを見て、「見よ、世の罪を取り除く神の小羊」と語ります。「小羊」というと旧約聖書の二つの箇所が目に留まります。一つはエレミヤ書。「わたしは、飼いならされた小羊が、屠り場に引かれて行くように、何も知らなかった。彼らはわたしに対して悪だくみをしていた」(エレ11・19)。もう一つはイザヤ書。「屠り場に引かれる小羊のように、毛を切る者の前に物を言わない羊のように、彼は口を開かなかった」(イザ53・7)。いずれの箇所も、黙々と引かれていく謙虚で我慢強い小羊のイメージが浮かんできます。

イエスは「神の子」として来られ、証していきますが、それは十字架への歩みによって示されていきます。しかも十字架への途上では、何も語らず、黙々と…。聞こえてくるのは、群衆の怒号。まさに屠り場に引かれて行く小羊の姿と重なってきます。

ドイツのダッハウを訪れたことがあります。そこはポーランドのアウシュビッツに似た光景です。たくさんのユダヤ人たちが連れてこられ、狭い部屋に閉じ込められた後、ガス室に送り込まれ、亡くなっていきました。ガス室に送り込まれる時、彼らの心境はいかなるものだったでしょうか。屠り場に引かれる羊のように…。

また日本26聖人殉教者たちは、京都から長崎まで連行されていきました。彼らは寒い中、京都で耳をそがれ、長崎までほとんど歩かされました。京都市内での引き回しは、多くの人々へのみせしめ。また時には怒号も浴びたことでしょう。彼らの足跡を辿ると、屠り場に引かれていく小羊やイエスの姿が思い浮かんできます。

江戸でもたくさんの人たちが殉教していきました。特に1623年12月4日に殉教した「江戸の殉教者たち」は、小伝馬町の牢屋敷から、銀座、新橋を通って品川に近い札の辻まで引き回しの刑にあい、最後は火刑で殉教していきました。彼らの姿もまた、屠り場に引かれていく小羊のようです。

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