四福音記者のイメージについて

四福音記者のイメージとして、天使(人間)〈マタイ〉、ライオン〈マルコ〉、牛〈ルカ〉、鷲〈ヨハネ〉などで描かれたりしますが、どういう背景で描かれるようになったのでしょうか?

紀元70年から100年の間に四福音書は書かれたと考えられています。ところが、啓示を通して自己の本質、その由来と行く末を認識することによる救済を主張したグノーシス主義者は、多数の福音書を書き上げていきます。他方、旧約の神を否定的に評価したマルキオンは、ルカ福音書とパウロの10の手紙を正典としました。

このような中で、リヨンの司教エイレナイオス(イレネオ)は、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四福音書こそが「教会の柱、土台、生命の息」であると主張して、次のように述べています。

「万物の造り主であって、ケルビムの上に座し、万物を統合する御言が、人々に現れた時、四つの形をなしているが、一つの霊によって統合されている福音書を私たちに与えたのは明らかである。……ケルビムは四つの顔を持ち、その顔は神の子の働きを示す。すなわち、第一の生物は獅子のように、その実行的、指導的、王者的役割を表している。第二のものは、牛のように、犠牲的、祭司的職種を表している。第三のものは、人の顔を持ち、人の形における御言の顕現を最も明らかに示している。第四のものは、飛ぶ鷲のように、教会に降った聖霊の賜物を明示している。従って、福音書はこれら四者に一致し、キリストがそれらのうちにおられるのである。」(『異端反駁』3・11・8)

これはその後も受け継がれていきます。ここではヴルガタ訳と呼ばれた聖書のラテン語の訳者ヒエロニムス(347〜420年)の言葉を紹介することにします。

「この四つの福音書は、はるか以前に予言されていたことをエゼキエル書が証ししている。その書の第一の幻は次のように綴られている。『またその中には、四つの生き物に類似したようなものがあった。それらの顔は人間の顔、獅子の顔、若い雄牛の顔、そして鷲の顔であった』(エゼ1・5、10)。第一の人間の顔はマタイを意味している。彼は、『アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図』(マタイ1・1)と、人間としての出生から書き始めている。第二の顔はマルコを意味している。そこでは、『荒れ野で叫ぶ者の声がする。主の道を整えよ。その道筋をまっすぐにせよ』(マルコ1・3)と、砂漠で吼える獅子の声が聞こえる。第三の若い雄牛の顔は、祭司ザカリアから書き起こしている福音記者ルカを予示している。第四の顔は福音記者ヨハネを予示している。彼は、鷲の翼を得て、より高きところへと急ぎ、神の御言について論じている」(『マタイ福音書注解』序文)。

●回答者=小高毅神父

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