主の公現

「主の公現」の祭日は「公に現す」という字からも分かるとおり、この日は神の御子イエス・キリストが人となり、全人類にその姿をお現しになったことをお祝いします。朗読される福音は、マタイによる福音書2章1節から12節まで。私たちがよく知っている、あの東方の三人の博士(占星術の学者であろうといわれている)がベトレヘムまで来て、幼子イエスを礼拝する場面 が読まれます。はるか東方の博士にまで、つまりすべての国民に、イエスは御自分を現されたというわけです。

しかし、福音書のイエス・キリスト降誕の前後を読んでみると、イエスが全人類に御自分を現された、というわりには幼子イエスを直接見た人がずいぶん少ないことに気づきます。ためしに、幼子イエスに会うことができた人を、皆さんの知っているかぎり挙げてみてください。ヨセフとマリアを除けば、羊飼い、東方の三博士……、それから後はなかなか出てきません。福音書の中でも、生まれたばかりの幼子イエスに会うことができた人はこんなものです。

では、イエスは他の人たちに御自分を隠そうとされたかというと、そうではないようです。幼子イエスを見た羊飼いたちは、喜びにあふれて、「この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせ」(ルカ2・17)ました。また、きょう私たちが取り上げている福音の中でも、ヘロデ王やエルサレムの人びとは、博士たちの言葉によって「ユダヤ人の王」が生まれたことを知らされました。たくさんの人たちがイエスの誕生について知らされ、イエスに出会うチャンスを与えられたのです。それにもかかわらず、幼子イエスに会うことができたのはわずかな人たちだけでした。そこには、会いに行こうと望んだ人と無関心だった人の違いということでは片づけられない何かがあるようです。そこで、マタイ福音書をもう少し深く読んでみましょう。

マタイ2章1〜12節では、東方から来た博士たちとヘロデ王が対照的に描かれています。東方の博士たちは、一刻でも早く幼子に会いたい、との望みに駆られていました。一方、ヘロデ王も、不穏な芽は小さいうちに摘み取ってしまおうと考えたのでしょうか、それこそ血眼になって幼子の居場所を知ろうとします。別 の理由であったにせよ、ヘロデ王もまた幼子に会うことを強く望んでいたのでした。ヘロデ王は、律法学者を通して、メシアがどの町に生まれるかを知っていたのですから、普通に考えれば、ヘロデ王のほうが幼子を見つけやすかったはずです。しかし、幼子に会うことができたのは、ヘロデ王ではなく博士たちのほうでした。

なぜでしょうか。ヘロデ王は他の人に聞いた知識で幼子を見つけようとします。一方、博士たちはただ星(=神)の導きに信頼して、これに従います。ヘロデ王は、人を使って調べさせたり、人に頼んだりしますが、自分では動こうとしません。博士たちは、とにかくエルサレムを出発しました。星の導きを信じて行動しました。そして再び「東方で見た星」を見つけ、幼子にたどり着きました。

私たちは、いつもイエス・キリストと出会いたいと望んでいます。しかし、望んではいても、自分の力に頼っていてはイエスに会うことができません。神に全面的に信頼することが必要なのです。ところが、私たちは口では「神を信じます」と言いながら、いざ実生活の場になると、無意識のうちに、神の導きではなく、自分の持っている知識で、あるいは人から聞いた知識でもって行動しようとします。いつの間にかそうしているのです。いつ現れるかわからない星、つまり神の導きよりも、自分の知識のほうがずっと確実に思えるからです。こうして、私たちはイエスに会いたいと望んでいるにもかかわらず、イエスに会えないヘロデ王のようになっているのです。

目に見えること、頭で分かることよりも、なかなかとらえられない神の導きに信頼するのは、たいへんなことです。道の途中で分からなくなってしまうこともあるでしょう。東方の博士たちも、エルサレムで一度星を見失ったようです。しかし、彼らが信頼をもって再び歩みを始めた時、確かに星は現れました。

私たちも、心の中にある不安や思い煩いを打ち払い、神に信頼して歩み始めましょう。そうすれば、必ず神の導きを見いだすことができるはずです。新しい年が、信頼・希望・喜びに満たされたイエスへの歩みの年となりますように。

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