謙虚な祈り 年間第30主日(ルカ18・9~14)

今日のみことばに登場するファリサイ派の人はとても立派な人です。「週に二度断食し、全収入の十分の一を納めている」(ルカ18・12)ので、とても熱心な信者と言えます。ふだんの生活でも断食するのはとてもきついし、十分の一を納めるのは決して容易なことではありません。何とかして、負担を軽くしたいのが人間の心情ではないでしょうか。それでもきちんと支払っているところに、ファリサイ派の素晴らしさがあります。

一方、徴税人のほうはどうでしょうか。「神よ、罪人であるわたしを憐れんでください」(ルカ18・13)と祈ります。自分のふだんの生活を振り返り、罪深さを感じながら、心から回心していきます。確かに、徴税人という仕事を通してたくさんの不正を働き、集めたお金を自分のふところに入れていたことも多々あったことでしょう。そのために、神の前で正面から向き合えない気持ちも分かります。

ベトナムへ来て買い物をする時、一番困るのは値段が書いていないことです。コンビニのサークルKやファミリーマート、イオンに行くと値段がついていて、バーコードもついているので値段をごまかすことはできません。ところが普通の店に入って買い物をしようとなると、値段が書いていないので高く吹っ掛けられることもよくあります。この前、ホーチミン市内のベンタイン市場へ行ったのですが、たくさんの物がおいてあるのに値段がついていません。しかもそこにはたくさんの外国の観光客が訪れる所です。例えば、衣類を買おうとして値段を聞いたら、最初、けっこう高い値段を言ってきます。「そりゃ高いなあ」と言って、徐々に値段を下げ、最後には半額になったりします。まさに交渉次第です。ほんとうはもっと安くなるのかもしれませんが…。そんな世界に生きている人たちにとって、うそをつくことは日常茶飯事なのかもしれません。

徴税人もまた同じような境遇だったのでしょう。さんざん不正を働いてきましたが、今、神の前に立った時、同様な気持ちになったのではないでしょうか。徴税人の謙虚な祈りにはいろいろな表情が見えてきます。

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