勝ち目のない戦い 年間第29主日(ルカ18・1~8)

裁判官と一人のやもめとでは、権力の大きな違いがあります。裁判などの場面に遭遇すれば、一人のやもめにとってはまったく勝ち目のない戦いになるでしょう。ところがとてもしつこいやもめに、裁判官はまったく歯が立ちません。すなわち、「あのやもめは煩わしいから、裁いてやることにしよう。そうでもしなければ、絶えずやって来て、わたしをうんざりさせるに違いない」(ルカ18・5)と。「うんざりさせる」というギリシア語の言葉は「ヒポピアゾー」が使われ、「さんざんな目に遭わす」とか、「目の下に青あざを作る」「目の下を殴る」という意味があり、裁判官の目の下が青くなるほど、やもめに殴られるような表現が含まれています。直訳すると「彼女が私の顔を殴ることのないように」という意味で、それは同時に裁判官の評判が落ちることも含んでいます。そんな状況であれば、裁判官だって、たまったものではありません。裁判官のプライドが傷つくことになるのでしょう。このように、一人のやもめの根気強い願いが勝利します。

ベトナムへ来て一か月が過ぎましたが、最初の一週間ほど経過したころ、私が住んでいる所に公安(警察)がやってきました。身元調査ということで、時には多額のお金を要求することもあるようです。私はちょうど語学学校へ行っていたので、対応できませんでしたが、住んでいる所のオーナーさんの家族がうまく対応してくれました。ベトナムは共産党支配の国なので、宗教活動に対してはとても敏感です。事実、近くにある教会のすぐそばには公安の事務所があり、誰か目新しい人が来ていないかいつも目を光らせています。たぶん彼らは、私たちの存在に気付いたので訪ねてきたのでしょう。

こうした社会の中で、また言葉がよく分からない社会の中でどのように振る舞ったらよいのだろうか。その点で、今日のみことばの中に出てくる一人のやもめのように、裁判官に勇気をもって立ち向かう姿勢も、時には必要でしょう。

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